女性医師に聞く、心のセルフケア方法。カウンセリングの利点とは?

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更年期を迎えている女性にとって大切なのは、“心の健康”を維持しながら、上手くこの時期を乗り越えること。とはいえ、女性ホルモンのバランスが乱れることによって引き起こされるイライラや精神的な症状は、なかなか自分の意志だけではコントロールできないと感じている人も多いのではないでしょうか?

実際、「どのように対処すればいいのかわからない」といった声が女性たちの間から上がっているのも事実。そこで、TRULY編集部がお話をうかがってきたのは、家庭医療専門医として女性たちの悩みに耳を傾けている三島千明先生。自身が実践しているセルフケアの方法や欧米では定着しているカウンセリングなどについて教えていただきました。

Q.まず、カウンセリングではどのようなことが行われているか、教えてください。

ゆっくり時間をかけて話を聞き、相談に乗りながら心理的な問題を解決するというのがカウンセリング。カウンセラーだけでなく、病院の診察のなかで医師が行う場合もあります。

ただ、通常の診察だとあまり長い時間を取れない場合もあるので、そういうときはしっかりと時間を確保してくれるカウンセリングを並行して受けてみるのもいいのかなとは思います。悩みを抱えている人や気持ちの落ち込みやどう対処してよいか分からない方にとっては、秘密をきちんと守ってくれる安全で安心な場で話を聞いてもらう、ということ自体にほっとしたり、癒しの力がありますから。

Q.具体的な症状がなくても、カウンセリングを受けることはできますか?

もちろん、受けることは可能です。日本ではセラピーやカウンセリングはまだあまり一般的ではありませんが、欧米では日頃からセルフケアの一環として日常的に行っている方が多いですよね。

カウンセリングにも、病気に関する治療を目的とした専門的なものから、ちょっとした心の悩みを聞いてもらうようなものまで、さまざまなタイプがあります。なので、カウンセラーがいる精神科や心療内科を予約して相談をする、もしくはカウンセリングを専門に行っているサービスを利用する、というのでもいいので、まずは相談しやすいかかりつけの医師に気軽に相談してみるのがいいかもしれません。

気持ちが落ち込んだりすることは、誰の人生にも何度かあることです。うつは、“心の風邪”みたいなものともの言われます。特に女性はホルモンバランスの影響を受けやすい時期がありますが、産後や更年期のときにはうつを感じやすいということを理解しているだけでも、運動やリラクゼーションといったセルフケアやカウンセリングのような対処法があるということを知っているだけでも違います。なので、まずは「知る」ということが大事だと思います。

Q.カウンセリングを受けたことがない人は、どのように探したらいいですか?

試してみたいけどどこに行ったらいいかわからない人は、ご自分が知っている医療関係者やかかりつけ医に紹介してもらうのも一つだと思います。そのほうが安心感を得られるという意味でも、オススメです。

あと、最近は直接オンラインでカウンセリングを受けられるサービスも増えてきているので、そういったものもうまく活用していけるといいのかなと。対人関係やキャリアや仕事の悩み、言葉にならない不安やモヤモヤに寄り添ってくれます。まずは自分の気持ちを口に出すこと、そして話をしっかりと聞いてもらうことが大事です。

Q.先生が実践されているセルフケアなどがあれば、教えてください。

実は、私もセルフケアとして定期的にカウンセリングを利用しています。自分でも一度経験したいという思いもありましたが、きっかけは夏バテ。私は以前から夏になると疲れやすくなるなと感じていました。季節によって自分の体調や気分の変化があることを知っておくことは大切です。うつ病にも季節性のものがあり、夏と冬に起こりやすいことが知られています。

そこで体調管理やセルフケアをしながら、カウンセリングも受けてみたところ、自分の状態を客観的に把握することができましたし、身体のことだけでなく、友達や家族に言えなくて心の中でモヤモヤしていたことも話すことができて、気持ちが楽になったんです。それ以来、うまくカウンセリングと付き合っていくことの良さを自分の経験を通して感じています。

Q.では、現在悩みを抱えている女性たちに向けて、アドバイスをお願いします。

診察にいらっしゃる女性のなかには、自分の悩みを家族にも友達にも言えないという人が意外とたくさんいらっしゃいます。誰かに秘密を知られたくないとか、パートナーが忙しくて話を聞いてくれないとか、理由はそれぞれですが、孤独感を抱えている方が結構増えてきているんだなと感じることがあります。特にコロナでの自粛や人と会う機会が減っていることでさらに感じやすい状況です。

そんなときこそ、上手に活用するといいのがカウンセリング。なぜなら、友人には話しづらいことも、守秘義務があるカウンセラーになら安心して自分の思いをすべて話せますし、第三者だからこそ本音が言えるという部分があるからです。気軽にできる心のセルフケアとしてそういう方法があるんだ、ということをもっとみなさんにも知って欲しいですね。

これまで健康というのは、体が病気ではないということを意味していましたが、体が元気でも気持ちが落ち込んでいれば健康とは言えません。普段から心も体も良い状態でいるために、日頃から信頼できるかかりつけ医を持ち相談したり、セルフケアの知識を持ちカウンセリングをうまく使っていくことがこれからは大切だと思います。

お話をうかがった先生

監修医師

三島千明 先生


島根大学医学部を卒業したのち、島根大学医学部付属病院で初期臨床研修を修了。

その後、北海道家庭医療学センターで、家庭医療後期研修を修了する。

現在は、青葉アーバンクリニックや丸の内の森レディースクリニックにて勤務。女性医師として、悩みを抱える女性たちが気軽に相談できるようなかかりつけ医を目指し、診療を心がけている。専門分野は、総合診療(家庭医療)、在宅医療。

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