漢方薬剤師が解説!更年期と肌トラブル。乾燥やシミに効果的な対処法とは?

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更年期に差し掛かると、心身ともにさまざまな不調に見舞われてしまいますが、なかでも気になるのは肌のトラブル。人の目に一番触れる部分だけに、悩んでいる女性も多いと思います。とはいえ、できれば更年期でもきれいな肌とともに、快適に過ごしたいですよね。

そこで、今回お話を伺ってきたのは、漢方内科・皮膚科クリニック「恵比寿mamaクリニック」の有藤文香先生。婦人科系のトラブルを専門に扱い、クリニックでは漢方相談を担当されている有藤先生ならではのアドバイスや症状が出た際の対処法ついて教えていただきました。

Q.更年期に出やすい肌のトラブルには、どのようなものがありますか?

その時期の皮膚に関しては、乾燥やかゆみ、シミ、くすみ、あとは肝斑(かんぱん)で悩んでいる方が多く見られます。これらの症状を引き起こす原因として、漢方的な観点から挙げられるのは、大きく3つ。体に必要なうるおいを表す「陰」が不足している「陰虚(いんきょ)」、五臓(肝・心・脾・肺・腎)のなかでも腎が弱っている「腎虚(じんきょ)」、もしくは血流が悪くなる「瘀血(おけつ)」です。治療の際は、これらを中心に考えつつ、その人の体質に合わせたお薬やアロマをそれぞれ選ぶようにしています。

Q.どのくらいの症状が出たら、病院に行けばいいのでしょうか?

肌が少し乾燥してきたなと感じたり、少しシミが目立ってきたかなと思ったりしたら、できるだけ早い段階で病院に行ったほうがいいですね。そのほかにも、白髪や抜け毛が気になるようになったら、それも老化の第一歩なので、ホットフラッシュやイライラするといった更年期特有の症状が出ていなかったとしても、一度受診することをオススメします。

Q.薬を服用した場合、どのくらいで効果がありますか?

人にもよりますが、早い方だと1週間くらいで症状が緩和してくることも。長くても2~3か月ほど続けていれば、体質が変わっていくのを感じられる人が多いようです。

Q.処方された薬は、症状が改善したあとも続けて服用した方がよいのでしょうか?

これも人ぞれぞれではありますが、そのあとも飲み続けたほうがいいものもありますし、更年期によるトラブルに関するものなら、症状が収まったあとは飲まなくてもいい場合もあります。乾燥にも更年期が原因のものと老化が原因のものとあり、何が原因なのかによっても違ってきますから。

Q.更年期と老化では、肌の乾燥のタイプが異なるということですか?

実は、同じ乾燥でも違うんですよ。まず、更年期によって起こる乾燥は、体の内側から乾燥している状態。ホットフラッシュで汗をかいて、体のなかの水分が一時的に出切ってしまうことによって引き起こされる乾燥を指しています。一方で、老化による乾燥は一気に脱水するのではなく、徐々に進んでいく状態。わかりやすい例えで言うと、ブドウが干しブドウになるようなイメージですね。

Q.では、更年期による乾燥に有効な治療法を教えてください。

更年期障害を起こしている方に使うことが多いのは、陰を補う「補陰薬(ほいんやく)」や女性ホルモンの分泌を高めてくれるような漢方薬。陰は女性ホルモンと直接関係すると言われているので、特に陰が減ってくる閉経前の女性には、補陰によってうるおいを与えられるような処方をするようにしています。

Q.漢方薬は、市販でも購入することはできますか?

購入することはできますが、その人に合ったものを服用しなければ意味がないので、病院で処方していただくことを推奨しています。合わないものを飲んだ場合、副作用が出てしまうこともありますから。具体的な例としては、お腹がゆるくなったり、体が冷えてしまったり、逆に前よりほてってしまうというような症状。そういったことがないようにするためにも、体質に合った漢方薬を病院できちんと見立ててもらうようにしてください。

Q.更年期の肌トラブルを事前に回避するのに効く漢方もありますか?

予防のためであれば、「血(けつ)」を補う液状の漢方を勧めています。女性の場合は、毎月の月経によって血が失われていきますからね。皮膚も水分だけではなく、血が十分にあることによってもうるおいが保たれるので、普段から血を補うような漢方薬の服用は効果的だと思います。

Q.更年期の肌トラブルを抱えている人が摂取したほうがよい食材はありますか?

オクラや山芋、納豆のようなヌルヌルネバネバ系の食材やキノコ類はとてもいいですね。あと、オススメはシナモン。もともと婦人科系の漢方薬には、シナモンの生薬名である桂皮(ケイヒ)がよく入っていますから。血流をよくしてくれますし、シミやくすみも予防してくれるので、ぜひスパイスとして使ってみてください。

Q.日常生活において、意識したほうがいいことがあれば、教えてください。

それは、毎日湯船に浸かることですね。若い人だとユニットバスだから、お風呂に浸かれないという方もいますが、「体を洗わなくてもいいから、お風呂にだけは浸かってください!」とアドバイスすることもあるくらい血のめぐりをよくするためには大切なことです。

私が実践していることとしては、お風呂上りのマッサージ。念入りではなく、さするだけでも乾燥を防げるので、オイルを全身に塗って、血液やリンパを流すようにしています。あとは、寝る前のストレッチ。筋肉を動かすことで血液のめぐりもよくなるので、みなさんもぜひやってみてください。

お話をうかがった先生

監修

有藤文香

薬剤師
国際中医師,国際中医薬膳管理師
中医アロマセラピスト
株式会社Xiang代表

星薬科大学卒業後、製薬会社でMRとして勤めるが、予防医学の重要性を再確認して退社。渡英して東洋医学を取り入れたアロマセラピー代替医療を学ぶ。帰国後、漢方とアロマセラピーを融合させた「中医アロマセラピー」を体系化。ママと家族のための漢方内科・皮膚科クリニック「恵比寿mamaクリニック」を併設させた総合サロン『Xiang中医アロマ&漢方サロン』を設立。クリニックでは漢方相談を担当し、婦人科トラブルを専門としている。

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