更年期の赤ら顔は「酒さ」かも?症状・原因・対処法を解説

意外と知らない「酒さ」 赤み・ほてりに悩んでいませんか?
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更年期に入った女性の中には、顔の赤みやほてり、赤いブツブツといった肌トラブルに悩む方が少なくありません。これらの症状は単なる更年期症状ではなく、酒さ(しゅさ)」という皮膚の病気の可能性があります。

40~50代女性での酒さ発症率は高く、更年期のホルモン変化が深く関わっていることが最新の研究で明らかになっています。

この記事では、更年期女性に多い酒さの症状や原因、ホットフラッシュとの見分け方、そして効果的な対処法について解説します。

目次

酒さ(しゅさ)ってどんな症状?ホットフラッシュとの違いとは?

酒さとは、主に中高年の顔に現れる慢性的な炎症性皮膚疾患で、赤ら顔とも呼ばれます。

鼻や頬、額、あごといった顔の中心部に赤みやほてり、ブツブツ(丘疹や膿疱)が出るのが特徴です。1

一見すると更年期のホットフラッシュと似ていますが、以下の点で違いがあります。

  • ホットフラッシュ一時的なほてりや発汗。短時間でおさまる
  • 酒さ:赤みや腫れが慢性的に続く。皮膚に刺激感や熱感を伴うこともある。

また、酒さは敏感肌のような症状を引き起こすこともあり、「肌に合っていた化粧水が突然しみるようになった」と感じる方もいます。

更年期に酒さが起こりやすい理由

更年期は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少する時期です。実はこのホルモン変化が、酒さの発症や悪化に深く関わっていることが、近年の研究で明らかになってきました。

2023年の海外論文では、40〜60代女性での酒さ発症率が高く、エストラジオール(エストロゲンの一種)の値が低いほど、酒さが重症化しやすいという相関も報告されています。2

エストロゲンには皮膚の炎症を抑える働きや、肌のバリア機能を保つ役割があります。しかし、更年期を迎えるとその働きが弱まり、顔の皮膚が刺激に敏感になりやすく、炎症が起こりやすい状態になるのです。

体のかゆみが気になる方は、以下の記事も参考にしてください。

酒さの4つのタイプ

酒さは、症状の現れ方によって、大きく4つのタイプ(病型)に分類されます。[1]

病型主な症状特徴
紅斑毛細血管拡張型(第1度酒さ)・頬や鼻の持続的な赤み・毛細血管が透けて見える・ほてり最も一般的なタイプ。敏感肌のようなヒリヒリ感を伴うこともある
丘疹膿疱型(第2度酒さ)・ニキビのような赤いブツブツ・膿疱(膿を持った発疹)白ニキビや黒ニキビ(面皰)はみられない
瘤腫型・鼻瘤(第3度酒さ)・鼻を中心とした皮膚が肥厚・凹凸のある腫瘤状変化進行した状態で現れる
眼型酒さ・目の充血、異物感・眼瞼の炎症・ドライアイ様症状他のタイプと併発しやすく、眼科との連携治療が必要となることもある

それぞれ見た目や不快感が異なり、治療法や注意点も少しずつ異なります。自身の症状に近いタイプを知っておくと、受診した時にも役立つでしょう。

皮膚科での酒さの診断・治療法

「赤ら顔が続いているけれど、更年期だから仕方ないかも……」と思っていたら、酒さだったというケースは少なくありません。

酒さは皮膚科で診断・治療が可能な病気です。早期に適切な対応を受けることで、症状の進行を防ぎ、日常生活の不快感を軽減することができます。

具体的な診断や治療法について見ていきましょう。

診断と検査

診断は、問診と視診(皮膚の見た目の観察)によって行われます。

症状の経過、赤みの範囲、ほてりやヒリヒリ感の有無、生活習慣などを確認しながら、酒さの病型と重症度を判断します。

主な治療

酒さの症状やタイプに応じて、以下のような治療が行われます。[1]3

  • 外用薬(塗り薬):メトロニダゾールやアゼライン酸など、炎症を抑える塗り薬が使用される 
  • 内服薬:症状が強い場合は、抗菌作用のある抗生物質(テトラサイクリン系など)を内服することもある
  • 光治療・レーザー:薬では改善しにくい赤みには、IPL(光治療)やレーザーが選択されることもある

これらの治療は医師の診断に基づいて選択されるため、気になる症状があれば早めに皮膚科を受診しましょう。

ホルモン治療・漢方が使われることも

更年期のホットフラッシュが強く関係している場合は、婦人科と連携しながらホルモン補充療法(HRT)や漢方薬が処方されるケースもあります。[1]

ニキビやアトピー、脂漏性皮膚炎などとの鑑別診断も必要です。迷う場合は、皮膚科か婦人科どちらでもよいので気軽に相談してみるとよいでしょう。

更年期の酒さ【悪化を防ぐセルフケア】

酒さの症状を落ち着かせるには、医師による治療に加えて、日常生活でのセルフケアが欠かせません。肌トラブルを防ぐために、以下のポイントを意識して生活してみましょう。

紫外線を避ける

紫外線は、酒さの悪化要因のひとつですSPF20〜30程度の低刺激な日焼け止めを毎日使用しましょう。外出時は帽子や日傘の使用も推奨されます。[1]

急激な温度差を避ける

寒暖差やサウナ、熱いシャワーなども顔の血管を拡張させ、赤みの原因となります。室内外の温度差をゆるやかにし、空調の風が直接顔に当たらないよう工夫しましょう。

食生活を見直す

アルコール、辛い料理、熱い飲み物などは酒さを悪化させるきっかけになることがあります。[1]こうした食べ物・飲み物を控えたり、熱い飲み物は少し冷ましてから摂取するように心がけましょう。

睡眠とストレス管理をする

ストレスや睡眠不足は、肌のバリア機能を弱める要因です。リラックスできる時間を意識的に取り、睡眠の質を整えるよう心がけましょう。ヨガや瞑想・アロマテラピーなどの習慣もおすすめです。

低刺激性のスキンケア用品を選ぶ

洗顔は30℃前後のぬるま湯でやさしく行い、無香料・アルコールフリー・パラベンフリーなどの低刺激のスキンケアアイテムを選びましょう。[1]

摩擦は悪化の原因になるため、タオルで押さえるように拭く・スクラブを避けるなどもポイントです。

更年期の酒さは「適切な治療とスキンケア」で乗り切ろう

更年期に現れる赤ら顔やほてりの中には、酒さが隠れていることもあります。

治療とあわせて、紫外線対策やスキンケア、食生活の見直しなど、肌への刺激を減らすセルフケアも酒さのコントロールには欠かせません。

「年齢のせい」と我慢せず、肌の変化に気づいたら早めに皮膚科での診察を受けましょう。

参考

  1. 日本皮膚科学会ガイドライン|尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023, P410, 413 ↩︎
  2. PubMed Central|Clinical characteristics of rosacea in perimenopausal women, Fengjuan Yang, Lian Wang, Xian Jiang ↩︎
  3. マルホ株式会社|「ロゼックス®ゲル0.75%」「酒さ」に対する効能・効果追加のお知らせ ↩︎
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この記事を書いた人

髙橋マキのアバター 髙橋マキ 【看護師】

・認定フェムテックシニアエキスパート(日本フェムテック協会認定資格1級)
・化粧品検定2級

看護師歴28年
都内の総合病院を中心に、循環器内科・ICU・CCUなどで勤務。切迫流産のため120日間の入院生活を経験。
育児・引越しを機に、キャリアチェンジを行う。ライフステージの変化に伴い、女性には多くの健康課題があることを痛感。
多くの女性の課題解決につながるよう、情報発信を行なっている。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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