更年期女性のための《罪悪感ゼロ》おやつ術

40代以降の女性は、ホルモンバランスの変化によって食欲や気分の波を感じやすくなります。
ついお菓子に手が伸びてしまい「また食べてしまった……」と落ち込むこともあるでしょう。けれど、おやつは悪者ではありません。実は、上手に取り入れることで体調を整えるサポート役にもなるのです。
今回は、更年期世代におすすめの「罪悪感ゼロおやつ」の楽しみ方をご紹介します。
おやつは悪くない!更年期に「補食」が必要な理由
更年期は女性ホルモンの変化によって、血糖値のアップダウンや気分の揺れを感じやすい時期です。そんなとき「小腹が空いたな」と思うのは、カラダからの自然なサイン。無理に我慢すると、ドカ食いにつながったり、イライラが募ってしまうこともあります。
実は“おやつ”は悪者ではなく、体調を整える「補食(補助的な食事)」という役割を担ってくれるもの。ほんの少し取り入れることで、血糖値を安定させ、ココロもカラダも落ち着かせるサポート役になるのです。
罪悪感ゼロのおやつ選び|3つのポイント
「おやつ=お菓子」と思うと、つい罪悪感がわいてしまいますよね。でも、「ちょっと食べる=栄養をチャージする時間」と考えると、おやつは立派な栄養補給になります。更年期世代がおやつを選ぶときのポイントは次の3つです。
- 低GI食品
更年期はエストロゲン低下の影響でインスリン感受性が下がりやすく、血糖値の乱高下が大きくなりやすい時期と言われています。急上昇した血糖は強い眠気やだるさ、イライラ、そしてその後の急降下による甘い物欲を招きやすくなります。
そこで、糖質の質吸収がゆっくりな低GI食品を摂取することで、血糖値の乱高下を防ぎ、気分や集中力の安定に役立ちます。インスリン分泌の負担が減ることで、更年期に増えやすい内臓脂肪の蓄積リスクの抑制が期待できるメリットもあります。 - たんぱく質
更年期以降は筋肉量が年々減りやすく、基礎代謝も落ち込みがち。たんぱく質は筋肉・皮膚・髪の材料だけでなく、ホルモンの材料になる栄養素なので、意識的に摂取することをおすすめします。 - 食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性があり、どちらも更年期にうれしい働きがあります。
【水溶性繊維】オーツ麦、果物、豆、海藻 など
粘性で糖の吸収をゆっくりにし、血糖の安定に。腸内細菌のエサになって短鎖脂肪酸(酪酸など)を作り、満腹ホルモンの分泌・インスリン感受性の改善にも関与します。
【不溶性繊維】キノコ類、ナッツ、全粒穀物 など
腸の動きを促して便秘予防。 更年期は便秘やコレステロール高めが気になる方も多いですが、繊維は腸内環境の改善とLDLコレステロール低下にも役立ちます。
実践!40代からの【おすすめおやつ】
身近に手に入りやすく、“罪悪感ゼロ”で楽しめる具体的なおやつをご紹介します。
- 素焼きミックスナッツ+レーズン(ナッツは低GIで血糖値が安定、レーズンで鉄分も補給)
- 無糖ヨーグルト+冷凍ブルーベリー(良質なたんぱく質と腸活効果、抗酸化ケアに)
- 枝豆スナック(冷凍枝豆でもOK)(植物性たんぱく質と食物繊維が豊富)
- ハイカカオチョコレート(カカオ70%以上)(低GIで少量でも満足感+抗酸化作用)
ちょっとした工夫で、「低GI食品」「たんぱく質」「食物繊維」を自然に補え、無理なく続けられるセルフケアにつながります。
コンビニ・スーパーで必ずチェック!
市販のおやつを選ぶときには次の点を確認しましょう。
- 「糖アルコール入り」に注目
「砂糖ゼロ」と表示されている商品には、アスパルテーム・スクラロースなど人工甘味料が使われているものがよくあります。人工甘味料は砂糖の何十倍も甘く、強い甘さに慣れてしまうことで甘いものを欲しやすくなったり、カロリーがほとんどないために脳が満足できず、かえって食欲が増してしまうことがあります。
一方で、天然由来の糖アルコール(エリスリトール・キシリトール・マルチトールなど)は、砂糖よりカロリーが低く、血糖値をほとんど上げないため、ダイエット中でも取り入れやすい甘味料として注目されています。
※ただし一度にたくさん食べるとお腹がゆるくなることがあるので注意が必要。 - 「1袋で1/3日分の食物繊維」などの表記を探す
「食物繊維◯g配合」といった表記よりも、「1袋で1/3日分の食物繊維がとれる」といった表記のほうが参考になります。
その理由は、栄養成分を“含有量(g数)”だけで見ても、自分が1日にどれくらい摂取すべきか分かりにくいからです。一方で「必要量の何割を補えるか」が示されていると、普段の食事にどう取り入れたらよいかイメージしやすくなり、栄養バランスを整える目安になります。
- 「糖質オフ+高たんぱく」で効率よく栄養補給
たんぱく質は筋肉の維持や満腹感を得るために重要ですが、糖質も多い食品だと血糖値が上がりやすく、余分な脂肪として蓄積されることがあります。そこで糖質を抑えつつたんぱく質をしっかり摂れる商品を選ぶことで、効率よく栄養を補いながら血糖値やカロリーをコントロールできます。
中でも、1本でおにぎり並の満足感があるプロテインバーは、忙しい朝食や間食にもぴったりです。 - ナッツは「小袋タイプ」を常備
ナッツは健康に良い脂質やたんぱく質、食物繊維を含んでおり、間食にもぴったりですが、一度に食べすぎると500kcalを超えることもあります。
そのため、常備するなら「小袋タイプ」がおすすめです。小分けになっていると、食べすぎを防ぎつつ手軽に栄養を補給できます。さらに、持ち運びやすくオフィスや外出先でもサッと食べられるので、間食の習慣をコントロールしやすく、ダイエット中でも安心です。
最近は 「腸活スナック」「低GIチョコ」「1食分の野菜入りチップス」 といった商品もコンビニに並んでいます。パッケージの裏をちょっと覗くだけで、明日のカラダが変わりますよ。
更年期世代のおやつは「セルフケア」
おやつは決して「我慢するべきもの」ではなく、選び方次第で「セルフケア」になることをお伝えしました
種類や量を工夫して正しく選ぶことで、更年期世代のカラダとココロを整えることにつながります。大切なのは、罪悪感を感じずに前向きに楽しむこと。おやつの時間をポジティブに過ごして、心地よい毎日を過ごしましょう。
出典
日本産科婦人科学会「更年期と女性の健康」
https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/
国立健康・栄養研究所「食品のGI値・栄養成分データベース」