更年期にはPMSがひどくなる?軽くなる?

更年期のPMSはどう変わる?対策も紹介
  • URLをコピーしました!

「生理前の体調不良がつらい」

「更年期になってPMSがひどくなったような…」

月経前にイライラやむくみ、眠気などの不調が生じる月経前症候群(PMS)。更年期になると、PMSによる症状がひどくなる女性が一定数います。

更年期はホルモンバランスが乱れやすい時期。不快な症状はなるべく和らげて、コンディションを整えておきたいものです。

そこで今回は、更年期になぜPMSがひどくなりやすいのか、つらいPMSへの改善策についてお伝えします。

目次

【体験談】40代に入って生理前の体調不良でしんどい

41歳の瞳さん(仮名)、1年ほど前から月経前の不調が急に重くなりました。

以前から、月経の1週間前にはイライラや眠気があらわれることはありましたが、最近はコントロールができないほどで、夫婦関係や仕事への影響も出るように……。

更年期にPMSがひどくなるって聞いたことがないけど、もしかして病気?」

と不安に感じていますが、1週間ガマンすればおさまるからと病院には行っていません。

更年期と月経前のホルモン変化

女性の体にとって欠かせない女性ホルモン。月経や更年期に生じるさまざまな症状は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)とよばれる女性ホルモンの変動によるものです。

まず、月経のしくみを見てみると、月経終了後から排卵日にかけて多く分泌されるのがエストロゲンです。エストロゲンの分泌が多い期間は、代謝がアップしたり肌ツヤがよくなり体調が安定しやすくなります。

排卵日を境にエストロゲンの分泌は減り、月経が始まる前までプロゲステロンの分泌が増えていきます。体内に水分を溜め込みやすくなるので、むくみや胸の張り、眠気、イライラなどが生じやすく体調が不安定になりやすい期間です。

40〜50代の更年期を迎えると、卵巣機能の低下によってエストロゲンの分泌が急激に低します。それによって、ほてりやイライラなどの更年期症状が起こり、つらさを抱える女性が多くなります。

このように、エストロゲンの変動によって症状が引き起こされるという視点でみると、更年期に起こる女性ホルモンの変化というのは、程度は異なりますが、月経のときにエストロゲンの分泌が減っていく状況にとても似ているのです。

似ている?生理前のような更年期症状

40〜50代の女性では、イライラや眠気などの不調が更年期によるものなのか、月経前に生じるPMSによるものなのかが分からず、不安に感じてしまうことも少なくありません。

更年期とPMSの症状はどちらも女性ホルモンの変動が関係しているので、似ている部分が多いのです。

たとえば、だるさ(疲労感)・むくみ・のぼせ・頭痛・めまい・不眠などの体の不調がみられます。そして、体のトラブルだけでなくイライラ・気分の落ち込みなどの心の不調が生じるケースもあります。

更年期症状とPMSを見分けるのはとても難しいですが、両者で異なるのは不調が起こるタイミング

PMSは、月経の3~10日くらい前から起こり、月経の開始とともに症状が和らぎます1。それに対して、月経周期に関係なく不調が続くのであれば、更年期症状と考えられるでしょう。

更年期にPMSが「ひどくなる」「軽くなる」理由

女性ホルモンバランスは、ストレスや自律神経のバランスによっても影響を受けることがあります。

20代後半〜30代は責任のある仕事を任されたり、結婚・出産・子育てなど、ライフステージが変わりやすい時期。ストレスを受けて自律神経が乱れやすいことから、PMSのピークといわれています。

更年期になると、卵巣機能が低下することでエストロゲンの分泌が急激に減っていきます。そもそもエストロゲンを分泌するように指令を出している脳の視床下部は、自律神経のバランスも調整している場所。更年期でエストロゲンの分泌が乱れると、自律神経のバランスも乱れやすくなり、人によってPMSがひどくなるのです。

しかし、つらい症状がずっと続くわけではなく、閉経によって月経が停止すると、女性ホルモンの変動がなくなりPMSはなくなるといわれています。また、月経周期の関係なく生じる更年期症状のピークは、脳の指令と卵巣からのエストロゲン分泌のギャップが大きくなる閉経の前後2年間ほど

PMSや更年期のつらい症状がいつ軽くなるのかを知るためには、閉経が一つの目安となるでしょう。

【ひどくなったPMS】ホルモンケアで対策

更年期にひどくなったPMSは、セルフケアをすることで症状を和らげられます。体調を整えるカギとなるのは、更年期にゆらぎやすい女性ホルモンと同時に自律神経を整えることです。

まずは、規則正しい生活バランスのよい食生活を意識しましょう。とくに、カルシウムやビタミンB6、亜鉛、マグネシウム、大豆イソフラボンはPMSの症状を和らげてくれるので、積極的にとりたい栄養素です[1]

体を温めることは、血行がよくなり、更年期やPMSによる頭痛・肩こり・冷えなどを軽減します。38〜40℃のぬるめのお湯に浸かるとリラックス効果も得られるのでおすすめです。

ヨガやウォーキングなどの軽い運動は、体を整えてくれるだけでなくストレス発散効果も期待できます。

PMSも更年期症状もガマンしないで過ごしましょう

更年期にひどくなるPMSは、エストロゲンの分泌が急激に少なくなることで、自律神経のバランスが乱れやすいためであることをお伝えしました。

月経前の不調や更年期症状はほかの人に相談しづらいことから、つい我慢してしまうことも少なくありません。つらい症状をそのまま放っておくと、悪化してしまうことも。まずは、一息ついて自分の体や心に目を向けてみましょう。少しでもケアすることで、体の調子がよくなるはずです。

PMSや更年期症状とうまく付き合いながら、更年期を穏やかに過ごしましょう。

※本記事は実際の体験談をもとに構成・編集しております

出典

  1. 日本産科婦人科学会 月経前症候群(premenstrual syndrome: PMS) ↩︎
更年期のPMSはどう変わる?対策も紹介

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

「TRULY」LINE公式アカウント

女医や専門家による正しい情報を配信中!

この記事を書いた人

榎本真美子のアバター 榎本真美子 【看護師・保健師】

看護師・保健師
女性の健康総合アドバイザー
薬膳コーディネーター

都内総合病院の婦人科・乳腺科などに勤務後、女性総合診療のクリニックに従事。女性ホルモンと体・心のつながりについて理解を深め、さまざまな患者さんをサポートする。
その後、家族の転勤に伴い海外生活を経験。
健康管理やセルフケアの大切さを実感し、看護師ライターとして健康に役立つ情報発信に努めている。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

<専門家の皆様へ>
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。

目次