トイレが近い=膀胱炎?更年期世代で間違えやすい尿の病気

関西のとある薬局。
つい4日前に内科の処方箋で薬をもらったばかりの40代後半の女性が、険しい顔をして入ってきました。
薬を変えても「頻尿が治らない」

前にもらった薬に変えてよ!新しい薬が全然効かないんやけど



お薬のカルテを確認するのでちょっと待っててくださいね



まどろっこしいな



最初は、膀胱炎って先生に言われて薬もらったやろ?
それでも治れへんから4日前にもう一回受診したら、先生は「尿検査したらもう膀胱炎は治っているから」って言って、他の薬に変わったやん



でもトイレの回数が全くかわらへん!どないなってんの!?



抗生剤から過活動膀胱の薬に変わっていますね
新しいお薬は服用してから4日ほど経てば体内での薬の濃度が安定するのでそろそろ効果が出てくると思いますよ



こんな説明では納得せえへんやろな……膀胱炎って思いこんでいるからどないしよ
抗生剤が必要ない尿の病気?



前とおんなじ抗生剤を売って!



膀胱炎の治療で使う抗生剤は、医師の診察と処方が必要な薬です
ここでは販売できないんです



もらった薬が効かないんやから、それぐらい考慮してよ



まずは膀胱炎ってね、膀胱の内側が細菌などの感染によって炎症を起こす状態のことなんですよ
一般的には、腸内に常在する大腸菌とかの細菌が尿道から膀胱に侵入することで発症するんです



こんな理論話しても通じへんかもしれへんけど……
膀胱炎と過活動膀胱の違いを説明するより、この怒りと不安を他の方向に持って行かないと納得しないやろうな
過活動膀胱と膀胱炎の違い
過活動膀胱と膀胱炎は、どちらも尿に関する症状があらわれますが、その原因や治療方法は大きく異なります。
- 過活動膀胱:尿意切迫感(急に強い尿意が起こる)、頻尿(1日に何度も排尿する)、夜間頻尿が主な症状です。治療は主に薬物療法や生活習慣の見直し、膀胱訓練で抗生剤の服用は必要ありません。
- 膀胱炎:膀胱神経の炎症によって、排尿時の痛みや灼熱感、頻尿、尿意切迫感、血尿がみられることがあります。 特に急性膀胱炎の場合は、発熱を伴うこともあります。治療は主に細菌感染が原因の場合は抗生物質を使った治療が基本となり、炎症を中心とする対症療法も行われます。
自己判断で抗生剤を使うことのリスク



どないしたらええんよ?薬飲んでも効かへんのに



膀胱炎って抗生剤を使うのが基本的な治療なんですよ
でもどの抗生剤をどのくらいの期間使うかは、年齢や性別、全体の健康状態によって異なるから判断が難しいんです



そしておしっこの病気は膀胱炎だけじゃないんですよ



難しいんや…



先生間違えて薬を処方したんやろか?



いえいえ、間違ってはいないですよ



ただ効かないからって、自己判断でおうちに残っている他の抗生剤を使用すると「薬剤耐性菌」って言って、今後必要な時に抗生剤が効きにくくなってしまうこともあります
今回は「検査しても菌がいない」って先生が言ってたので、膀胱炎以外の原因でトイレが近いって症状が出ているかもしれないって考えられたんでしょうね



それで今回新しい薬に変わったと思うんです



わかったわ
家にある他の病院でもらった薬に、勝手に変えようとしたけどやめとくわ



やっぱり他の薬に変えようとしたんや……
おせっかいかと思ったけど、言うといてよかった
更年期の尿トラブルは膀胱炎とは限らない
この方は膀胱炎だけではなく、過活動膀胱であったため排尿回数が増えたと思われます。
膀胱炎も過活動膀胱も、どちらも尿に関する症状がありますが、過活動膀胱は神経や膀胱筋の機能異常によって起こり、膀胱炎は主に感染や炎症が原因で起こり原因や治療法が異なります。なので自己判断で自宅にある薬を服用するのは避けて欲しいのです。
また更年期以降の女性は、エストロゲンの分泌が低下するため、尿道や膣の粘膜が落ち、骨盤底機能も低下すると言われています。これらの変化が、過活動膀胱の症状(頻尿、急な尿意、夜間頻尿など)が出やすくなる一因と考えられています。
また過活動膀胱の発症は年齢、遺伝的背景、生活習慣など複数の原因があると言われており、治療薬だけでは治りづらいのが一般的です。
まずは生活習慣の見直しから行いましょうね。



