【急な不安感】に襲われるのはなぜ?更年期との関係と対処法

理由もなく不安になるのは更年期のせい?意外とみんな悩んでいる「不安感」を解説
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突然、不安感に襲われたり、落ち着かない気持ちになることはありませんか?

実は、不安感は更年期に起こりやすい症状の一つです。

更年期はホルモンバランスが大きく変化し、日々の生活でのストレスも重なりやすくなります。そのため、不安感や焦燥感が以前より強く現れることがあります。

この記事では、更年期と不安感の関係と、対処法についてお伝えします。

目次

「漠然と不安になるのは私だけ?」40代・50代の体験談

「布団に入ると急に不安になって眠れなくなる

「これといった理由がないのに不安感に襲われる」

このようなお悩みの声が40代、50代の女性から寄せられることがあります。更年期世代には、急に不安感に襲われるという経験をすることは少なくありません。

しかし、はっきりとした症状ではないため、「気のせいかな」「疲れているのかな」と見過ごされているケースも。

また、反対に不安感の原因が知りたくて、同じような体験談が書かれているブログやSNSを探し回ったという人もいるかもしれません。

漠然とした不安感に襲われるのは、あなただけではないのです。

【急に不安感に襲われる】原因は更年期症状かも

心当たりがないのに急に不安な気持ちになるのは、更年期による影響が考えられます。

更年期は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。このエストロゲンの変化が、心の安定に深く関わっているのです。

エストロゲンは、女性の心身に様々な影響を与えます。エストロゲンが減少すると、自律神経が乱れやすくなります。自律神経は気持ちとも密接に関連しており、自律神経が乱れることで心のバランスを保つことが難しくなります。

さらに、エストロゲンは幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの生成にも関わっています。セロトニンは、穏やかな気持ちや幸福感を生み出す脳内物質。エストロゲンが減少すると、セロトニンの生成も低下するため、不安感やイライラ、気分の落ち込みを感じやすくなってしまいます。

更年期には、こうしたホルモンバランスの変化に加え、身体的な変化社会的な役割の変化も起こりやすく、それが不安感をさらに増幅させる要因となることもあります。

もしあなたが理由もなく急に不安に襲われるようなことがあれば、更年期の可能性も考えてみてください。 

更年期の不安感を解消する4つの対策

更年期の不安感を和らげるためには、ちょっとした工夫が大切です。無理のない範囲で、日常の習慣に少しずつ組み込んでみてください。

➀女性ホルモンを整える生活(食事・睡眠・運動)

ホルモンバランスの乱れは、更年期症状を悪化させる要因です。食事・睡眠・運動などの生活習慣を見直し、ホルモンバランスを整えることを意識してみましょう。

食事:幸せホルモン「セロトニン」を増やす栄養素を積極的に摂取

食事は健康な体を作る上で欠かせない要素です。更年期の不安感やイライラを和らげるためには、セロトニンを増やすことが効果的です。セロトニンの材料となる必須アミノ酸「トリプトファン」を多く含む食品を積極的に摂取しましょう。

トリプトファンを多く含む食品

  • 大豆製品(豆腐、納豆)
  • ナッツ類(アーモンド、くるみ、カシューナッツ)
  • 魚(サーモン、マグロ、カツオ)
  • バナナ など

さらに、トリプトファンからセロトニンへの変換を助ける「ビタミンB6も一緒に摂取することで、より効果的にセロトニンを増やすことができます。

ビタミンB6を多く含む食品

  • まぐろ
  • かつお
  • レバー
  • バナナ など

これらの栄養素を積極的に取り入れ、バランスの取れた食事を意識してみてください。

睡眠:質の高い睡眠で心身を休ませる

睡眠不足はホルモンバランスを崩し、不安感やイライラを増幅させます。

質の良い睡眠を確保するために、

  • 就寝前のリラックスタイムを設ける:ぬるめのお風呂に入る、ハーブティーを飲む、リラックス効果のある音楽を聴くなど
  • 寝室の環境を整える:室温18〜22℃・湿度50〜60%に保つ、照明を落とす、スマートフォンなどのブルーライトを避けるなど

規則正しい生活リズムを維持することを心がけましょう。

また、セロトニンは夜になると睡眠を促すメラトニンに変化するため、日中に適切な量のトリプトファンを食事から摂取することも大切です。

運動:適度な運動でセロトニン分泌促進

軽い運動は、ストレス発散効果だけでなく、セロトニンの分泌を促進し、ホルモンバランスを整える効果も期待できます。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理なく続けられるものを見つけましょう。

➁漢方・サプリメント

生活習慣の改善に加えて、体の内側から働きかける漢方やサプリメントを取り入れるのも有効です。更年期症状に悩む方々に、古くから親しまれてきた漢方や、不足しがちな栄養素を補うサプリメントは、穏やかに不調を和らげるサポートをしてくれます。

漢方薬:更年期症状に効果が期待できる漢方薬は数多く存在します。加味逍遙散(かみしょうようさん)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが有名です。漢方薬は体質に合ったものを使用することで、十分な効果を発揮できると言われています。漢方に精通した医師や薬剤師に相談して、取り入れるようにしましょう。

サプリメント: ビタミンB群、マグネシウム、オメガ-3脂肪酸なども、心の健康をサポートすると言われています。食生活で不足しがちな栄養素を補う目的で、サプリメントを活用するのも良いでしょう。ただし、サプリメントはあくまでも補助的なもの。過剰摂取は避け、医師や薬剤師に相談の上、適切な種類と量を選びましょう。

ツボ

ツボ押しは、特別な道具も必要なく、いつでもどこでも手軽に行えるのが魅力です。心身の緊張を和らげ、リラックス効果をもたらすツボをいくつか覚えておきましょう。

  • 内関(ないかん): 手首の内側、手のひら側から見て、中央から肘に向かって指3本分のところにあります。吐き気を抑えたり、リラックス効果があると言われています。
    • 合谷(ごうこく): 手の甲側、親指と人差し指の骨の合流点にあります。万能のツボと言われるほど様々な効果があり、ストレス緩和やリラックス効果も期待できます。
    • 百会(ひゃくえ): 頭頂部、両耳の上のラインを結んだ中央にあります。自律神経を整え、精神安定作用があると言われています。

    これらのツボを、息を吐きながらゆっくりと数秒間押してみてください。気持ち良いと感じる程度の強さで、無理のない範囲で刺激してみましょう。

    ホルモン補充療法(HRT)

    ホルモン補充療法(HRT)は、エストロゲンなどの女性ホルモンを薬で補い、更年期の様々な症状を改善する治療法です。効果が高い一方、副作用のリスクもあるため、医師とメリット・デメリットをよく相談した上で治療を受けるかどうかを判断する必要があります。

    更年期の不安感はいつ終わる?うつとの違いは?

    更年期における不安感は、多くの女性が経験する症状ですが、その期間や程度は個人差があります。

    一般的に、更年期の症状は数年続くことが多いですが、ホルモンバランスが安定するとともに、徐々に軽減されていきます。具体的には、閉経後から数年経って体が新しいホルモンバランスに適応することで、不安感やその他の症状が和らぐことが多いです。

    ただし、個々の体質や生活環境、ストレスの影響により、症状の出方や持続期間は異なります。必要に応じて医療機関で相談することが大切です。

    更年期の不安感とうつ病は、似たような症状を持つことがあるものの、いくつかの重要な違いがあります。更年期の不安感はホルモンバランスの変化に起因する一時的なものであることが多いのに対し、うつ病はより持続的で深刻な精神的障害です。症状が長引いたり、つらいと感じる場合は、一人で抱え込まず医療機関で相談しましょう。

    更年期の不安感には「無理をしない」ことが大切

    今回は、更年期に多くの人が経験する不安感についてお伝えしました。

    ホルモンバランスの変化は、心身にさまざまな影響を及ぼします。今まで当たり前にできていたことができなくなったり、些細なことでイライラするなど、戸惑うことばかりかもしれません。

    家事や仕事、人間関係など、すべてにおいて完璧を求めず、「まあ、いいか」と肩の力を抜いてみましょう。更年期は体の変化だけでなく、ライフステージの変化とも重なる時期です。これまで頑張ってきた自分を労りながら、「無理をしない」ことを心がけて過ごしましょう。

    理由もなく不安になるのは更年期のせい?意外とみんな悩んでいる「不安感」を解説

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    この記事を書いた人

    十枝明日香のアバター 十枝明日香 【看護師】

    総合病院にて13年、職場を変え乳腺外科クリニックで勤務。その間、婦人科疾患の手術と重症妊娠悪阻により入院を経験。3児の子育て中で、自分自身が女性のキャリアや働き方の壁に突き当たり、仕事・育児・夫婦関係について、楽しみながら模索している最中。女性特有の悩みに左右されることなく、日々ご機嫌さんに過ごすことが当面の目標。

    このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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