女性のための鍼灸師が教える!東洋医学で更年期の不調をケア

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東洋医学というと、皆さんはどんなイメージをお持ちですか?

「スピリチュアルな感じ」「何に効果があるのかわからない」など・・ネガティブなイメージも多いのではないでしょうか。

東洋医学は、原因不明の不調、病名を診断されたが有効な治療法がない状態などを得意としています。

更年期障害は、ホルモンバランスの乱れに体がついていけず、体だけでなく自律神経や精神状態にも不調が起こります。

病院に行くほどでもないけど、生活に支障の出ている方。治療など改善に取り組んでいるものの、なかなか効果の現れない方など。

是非、東洋医学の視点も取り入れて、ご自身の体を理解してみましょう。

目次

東洋医学とは

東洋医学とは、その名の通り東洋(主に中国)で発達した医学です。

日本には、7世紀ごろに伝えられました。中国との鎖国により国交が途絶えたことを機に、日本人にあった独自の医学として研究され、発展しました。現在では、日本漢方、中国式の生薬や鍼灸、日本鍼灸などが、東洋医学と言われています。

東洋医学の考え

東洋医学は、自然と体は一体であると捉えます。たとえば、自然と体のリズムが同調していれば健康と考えます。季節に応じた養生を大切にし、天候と体の変化を考え、その影響を考慮して治療していきます。

また、人体のあらゆる活動は、精神と身体とが一体となっていると考える「心身一如(しんしんいちじょ)」という考えを持っています。体に出る様々な症状と精神的な変化は、相互に影響していると考え、治療に活かしていきます。

このように、東洋医学は常に自然との調和や心身の調和など、調和を大切にしながらバランスを重視する医学なのです。

東洋医学の基本的な体の概念

「気」「血」「水」という3つが、体を構成する3つの柱と言われています。

「気」:両親から受け継いだエネルギーや、飲食物からとるエネルギーを元とした生命エネルギー「血」:現在の血液のようなもので、体に必要な栄養分

「水」:血液以外の体液のことで、体にある余計なものを流したり潤いを保つに重要な物質

この3要素が、体中を巡ることにより健康を保てると言われています。どの一つが欠けても、また多くてもマイナートラブルや病気の原因になります。

次に、五臓という体を構成する5つの柱をご紹介します。現代でいう内臓と名前は似ていますが、それとは異なります。臓器ではなく、臓器とそれを取り巻く機能を含めた概念を言います。

各臓は、母子関係のような生み出す関係や、活動が強まりすぎないよう制御し合うなど、調和を保ち機能しています。

ここで簡易チェック!

下記のAからEの各項目でいくつ当てはまるか、確認してください。

五臓の中でどの臓にトラブルがあるかチェックしてみましょう。

A)

□目の症状がある(かすみ、疲れ、乾燥感)

□イライラしやすい、または怒りっぽい

□酸っぱいものが食べたい

B)

□夢をよく見る

□動悸や息切れがする

□苦いものが食べたい

C)

□食欲がない

□皮下出血しやすい

□甘いものが食べたい

D)

□咳や痰が出やすい

□乾燥肌

□辛いものが食べたい

E)

□頻尿気味

□髪の毛がよく抜ける

□塩辛いものが食べたい

診断結果

Aタイプの人)

「肝」の機能の異常サインが多いようです!

肝の働きは、全身の血液の調節や感情をコントロールする役割があります。肝の機能が衰えると、イライラしたり、目、筋肉、爪などに異常が出やすくなります。

Bタイプの人)

「心」の機能の異常サインが多いようです!

心の働きは、生命活動の主体となる最も重要な機能です。血液の循環や精神活動をコントロールする役割があります。心の機能が衰えると、顔面、発汗、舌などに異常が出やすくなります。

Cタイプの人)

「脾」の機能の異常サインが多いようです!

脾の働きは、消化や吸収をコントロールする役割があります。飲食を消化し、吸収した栄養を全身へ輸送します。脾の機能が衰えると、出血しやすくなったり(皮下出血など)、口や唇に異常が出やすくなります。

Dタイプの人)

「肺」の機能の異常サインが多いようです!

肺の働きは、呼吸機能に加えて肺に運ばれた栄養分を体中れめぐらす役割があります。また、ウィルスや菌のような害となるものの侵入を防いだり、肌の潤いや発汗作用にも関係します。肺の機能が衰えると、疲れやすい、息切れ、風邪をひきやすくなります。

Eタイプの人)

「腎」の機能の異常サインが多いようです!

腎の働きは、生命力を貯蔵する役割があり、生殖や成長、発育、老化をコントロールします。腎の機能が衰えると、腎臓や膀胱、耳、生殖器等の機能への影響や髪の毛が抜けるなどの老化現象が進みます。

「未病治(みびょうち)」という言葉を知っていますか

未病を治す、つまりまだ病気になっていないうちから、その要因となりそうな体の反応をキャッチし、治していくという考えです。病院に行くほどでもないのかな?と思うようなマイナートラブルや特に目立った症状がないという方にも、東洋医学的に捉えると、自分のタイプや日常で気を付けるべき習慣が見えてきます。先ほどセルフチェックでも見えてきた体のタイプは、正に現在のあなたの状態を表しています。

病気になる前に、未然に健康な体を作っていく。生活習慣や健康寿命が重要視されている昨今、東洋医学はとても注目を浴びている医学なんです。

東洋医学からみた女性の体

女性は7の倍数の歳で成長や発育をすると考えられています。

天癸(てんき)という、生殖機能を促進する物質があるとされています。現代でいう、性ホルモンとも言える物質です。

女性は、14歳になると天癸が生成され、性機能が成熟します。その影響で、生理が始まり生殖能力が備わると言われています。その後、35歳で老化が始まり天癸が衰えていきます。そして、49歳になると閉経すると言われています。この天癸の加齢に伴う急激な変化が、更年期症状をもたらすとされています。

このように、女性の発育は7歳周期で発育・成長をし、7×7の49歳で閉経するとされています。

ちなみに男性は8歳周期で成長・発育をし、8×8の64歳で歯が抜け、髪が抜け落ちるとされています。

更年期障害とは

更年期障害とは、社会的要因や心理的要因が自律神経症状を増強させることで、様々な症状が出ると言われています。更年期は、閉経へと向かう、子供の手が離れ生きがいを見失う、老化も感じる中で寿命までの長い期間をどう過ごせばいいか不安、など人生において大きく変化する時期です。それらを考慮して、体に出ているサインを見つけなければいけません。

一般的には、エストロゲンというホルモンが更年期により減少することで、骨粗鬆症、頻尿、セックスのトラブルなどが出現してくると言われています。このエストロゲンによる症状というのは多岐に渡ります。

東洋医学からみた更年期障害

東洋医学では、更年期障害のタイプとして2つあると言われています。

①のぼせやほてりの強いタイプ

②手足の冷えが強いタイプ

「①のぼせやほてりの強いタイプ」の方には、のぼせや冷え以外にも

 めまい

 耳鳴り

 口や舌の渇き

 と言った症状が見られます。

「②手足の冷えが強いタイプ」の方には、手足の冷え以外に

 寒がり

 食欲不振

 倦怠感

 と言った症状が見られます。

終わりに

更年期障害をタイプとして表現したように、東洋医学では一つの病気として捉えるだけでなく、その裏にある社会環境や生活習慣、精神的な状態なども考慮します。そのため、細部にわたり症状を確認した上で、適切な治療法を選択していきます。

東洋医学には、鍼灸や漢方、気候や養生と選択肢はいくつかあります。

今、更年期障害かも?とお悩みの方は、是非東洋医学的な治療法も試してみてはいかがでしょうか。

※出典

矢野忠(2012年)更年期障害 矢野忠 鍼灸療法技術ガイドⅡ 文光堂 pp.951-960.

矢野忠(2014年)レディース鍼灸 医歯薬出版株式会社

久保千春(2006)全人的医療における東洋医学の役割 全日本鍼灸学会雑誌 56巻4号,572-584

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この記事を書いた人

淺田麻希のアバター 淺田麻希 鍼灸師

「かかりつけ鍼灸師 for woman」代表として、女性特有の自律神経やホルモンバランスによる不調に特化して施術。自身も国内航空会社にてCA時代に、自律神経失調性の様々な体の不調を経験。その時出会った鍼灸にて、改善したことをきっかけに、家庭で社会で活躍する女性を健康面で支えると決意。施術だけでなく、お灸セルフ講座や、東洋医学的視点での体の不調などを学べるセミナーを開催している。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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