「メノポハンド」とは?更年期に多い手指のこわばり・痛みの原因と対処法

手指のこわばり・痛み...40代・50代に多い「メノポハンド」かも?
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40〜50代の女性で起こる手指のこわばりや痛み、腫れなどは「メノポハンド」かもしれません。

メノポハンド」とは、更年期にみられる手指の不調のこと。その背景には、更年期による女性ホルモンの変動が大きく関わっています。

「朝起きると、手指がこわばって動かしにくい」「ふきんを絞るとき・ペットボトルを開けるとき、手指が痛む」など、手や指の不調は日常生活に大きく支障を来たすことも。

今回は、メノポハンドの主な症状や原因、手指のこわばりや痛みをやわらげる対処法についてご紹介します。

目次

「メノポハンド」とは?更年期女性に現れやすい4つの病気と症状

メノポハンド(Menopausal Handの略)とは、手指のこわばり・痛み・腫れ・しびれなど、更年期にみられる手指の不調を総称したもの1。メノポハンドは、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少が関わっており、40〜50代女性に多くみられます。まれに、男性にもメノポハンドが起こることもあります。

メノポハンドによる症状の現れ方は人によって異なりますが、原因となるのは主に4つの病気です。

腱鞘炎(ばね指・ドケルバン病)

腱鞘炎とは、骨と筋肉をつないでいると腱を包んでいる腱鞘がこすれることで生じる炎症のこと。

腱鞘炎のなかでも、指に起こるものを「ばね指」といいます。指の付け根の痛み・腫れ・熱感から始まり、指を曲げ伸ばしすると引っ掛かるような感覚があったり、カクンと弾けるようにして指が伸びたりします。

それに対して、手首の親指側の腱に起こるのが「ドケルバン病」。親指を動かすと手首に痛みが生じます。

へバーデン結節・ブシャール結節

人差し指から小指にかけて、関節が赤く腫れたり、変形して曲がってしまう病気です。指の第一関節に起こるものを「へバーデン結節」、第二関節に起こるものを「ブシャール結節」といいます。

指の関節に痛みや腫れが起こり、コブのように硬く変形したりします。

手根管症候群

手根管症候群」は、手首にある神経の通り道(手根管)にある神経が圧迫されることで起こります。

主な症状は、小指以外の4本の指に起こる痛みやしびれ。進行すると物をつまむ・握るといった動作が難しくなります。

母指CM関節症

母指CM関節症は、親指のつけ根の関節(CM関節)に生じる変形性関節症の一つです。

親指に力を入れる動作をすると、親指の付け根に痛みが起こります。進行すると親指の付け根の関節付近が腫れ、親指が開きにくくなったり、親指の指先の関節が変形したりします。

更年期の手の不調「メノポハンド」が起こりやすくなる要因

40〜50代の更年期は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減り、体や心の不調が起こりやすい時期です。メノポハンドも更年期症状の一つであり、手指の不調が起こるのは以下の要因があります。

女性ホルモンの変動

メノポハンドの主な要因は、更年期による女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少です。エストロゲンには、関節や腱の周りにある滑膜を保護する作用があります。そのため、更年期にエストロゲンの分泌が少なくなると、関節や腱が動かしにくくなったり、炎症を起こしやすくなるのです。

ただし、更年期を過ぎてエストロゲンの変動が落ち着くと、メノポハンドの症状は落ち着くことが多いようです。

加齢による骨の衰えや筋力の低下

加齢による骨や筋肉の変化も、メノポハンドが起こる要因の一つです。年齢を重ねると、関節の軟骨がすり減り、関節に負担がかかりやすくなります。

更年期にエストロゲンが減少すると、ダメージを受けた筋肉の再生が鈍くなり2、筋繊維が細くなってしまいます。すると、骨を支える筋肉量や筋力が低下して、メノポハンドが悪化しやすくなるのです。

更年期のつらい手指のこわばり・痛みをやわらげる対処法

メノポハンドによる手指のこわばり・痛みなどがあると、家事や仕事などにも支障を来たしかねません。つらい手指の不調をできるだけ緩和するためには、日々のセルフケアが大切です。

ストレッチ

手指のこわばりや痛み・腫れなどがあると、関節を支える腱や筋肉に負担がかかります。そのため、腱や筋肉の緊張をやわらげるストレッチが有効です。

以下のようなストレッチを痛くない程度にゆっくり行うことで、手指の血行が改善します。

  • 手を「グー・パー」と開いたり閉じたりをゆっくり繰り返す
  • 片手の手首を立て、反対側の手を使って指をうしろに伸ばす。次に、手首を下げ、反対側の手を使って指を前に倒す。

手や体をあたためる

冷えがあると、血行が悪くなり、手指のこわばり・痛みを強めてしまいやすくなります。

入浴や手浴、温かいタオルを用いて手を温めると、痛みの緩和に役立ちます。メノポハンドによる手指のこわばり・痛みなどは朝に強まりやすいため、朝起きた時に手を振ったり、温めたりするのも有効です。

漢方薬

体質を整えてくれる漢方薬は、手指の関節痛やこわばりをやわらげる作用が期待できます。たとえば、次のような漢方薬はメノポハンドによく用いられます。

  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):女性特有の不調を整える三大漢方薬の一つ。メノポハンドによる手指のこわばり・関節痛の緩和が期待できます。冷えやすく、むくみや疲労感があり、貧血気味の方に向いている漢方薬です。
  • 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう):体を温めて、関節痛や神経痛などをやわらげる作用が期待できます。冷えによって手指のこわばりや痛み、しびれが強まる方に向いています。
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):女性特有の不調を整える三大漢方薬の一つ。滞った血流をよくして、メノポハンドなどの症状を緩和します。頭はのぼせるけれど手足は冷える「冷えのぼせ」や肩こり、生理痛などがある方に向いている漢方薬です。

エクオールなどのサプリメント

メノポハンドを緩和・予防するためには、女性ホルモンバランスを整えてくれるエクオールなどのサプリメントを取り入れるのも一つの方法です。

エクオールは、大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されてできる成分。エクオールは、エストロゲンとよく似た働きをします。そのため、メノポハンドによる手指の痛みやこわばりなどの緩和に役立つといわれています3

【受診の目安】メノポハンドは何科で相談?

メノポハンドは「年齢のせいだから仕方ない」「手の使いすぎ」などと我慢する必要はありません。手指の不調を放っておくと、数年〜10年かけて関節が変形し、元に戻らなくなる可能性もあります。

次のような場合、まずは整形外科で相談しましょう。

  • 手指のこわばり・痛みが数週間続いている
  • 物を握れないなど、日常生活に支障が出ている
  • 手指の腫れや変形・しびれが悪化している
  • 朝のこわばりが1時間以上続く

メノポハンドかどうかを診断するためには、レントゲンや血液検査などを行い、リウマチなど他の疾患との鑑別が欠かせません。リウマチの場合、炎症反応(CRP、RF、抗CCP抗体)が陽性になったり、レントゲンで関節の変化がみられたりするため、メノポハンドと見分けがつきやすいのが特徴です。

メノポハンドは我慢せずに早めにケアしよう

更年期に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少すると、手指のこわばり・痛み・腫れなどが起こりやすくなります。これをメノポハンドと呼びます。

女性ホルモンとともに変化していく手指の関節や筋肉の状態。手指は、家事や仕事などの日常生活に欠かせない部分のため、コンディションを整えておきたいものです。

「年齢のせいだから仕方ない」と手指のこわばりや痛みを我慢する必要はありません。さっそく今日からメノポハンドの対処法を取り入れて、数年後も健やかな手を保ちましょう。

参考

  1. 日本手外科学会. 「メノポハンド(Menopausal Hand) − 手根管症候群・腱鞘炎(ばね指)」. https://www.jssh.or.jp/ippan/ ↩︎
  2. Yuriko Kitajima, Yusuke Ono(2016). Estrogens maintain skeletal muscle and satellite cell functions. Journal of Endocrinology: 229(3), 267-275.  ↩︎
  3. 平瀬雄一(2018). 女性疾患としての手の痛み. 日本女性医学学会雑誌,25(2),307-311. ↩︎
手指のこわばり・痛み...40代・50代に多い「メノポハンド」かも?

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この記事を書いた人

榎本真美子のアバター 榎本真美子 【看護師・保健師】

看護師・保健師
女性の健康総合アドバイザー
薬膳コーディネーター

都内総合病院の婦人科・乳腺科などに勤務後、女性総合診療のクリニックに従事。女性ホルモンと体・心のつながりについて理解を深め、さまざまな患者さんをサポートする。
その後、家族の転勤に伴い海外生活を経験。
健康管理やセルフケアの大切さを実感し、看護師ライターとして健康に役立つ情報発信に努めている。

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