カフェインは更年期に悪影響⁉コーヒーは何杯までOK?

その不調はコーヒーのせいかも!? 1日何杯ならOK?
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朝の目覚ましや仕事の合間などに、コーヒーを飲む人も多いのではないでしょうか?

コーヒーやお茶などに含まれるカフェインには、脳を活性化させて覚醒作用や集中力アップなどのメリットがある一方で、摂りすぎると体に悪影響をもたらすことも少なくありません。

40〜50代の女性では、更年期にみられるさまざまな症状を悪化させてしまう可能性があります。

そこで今回は、カフェインと更年期の関係や、カフェインとの上手な付き合い方についてご紹介します。

目次

大好きなコーヒー…やめないとダメ?

40代後半の早希さん(仮名)は、大のコーヒー好き。

朝の目覚めの一杯に始まり、仕事の合間や気分転換、眠気覚ましにと、気がつけば毎日何杯も飲むのが習慣になっていました。「コーヒーがないと一日が始まらない」と笑うほど、生活の一部になっていたのです。

そんな彼女も、最近になって更年期特有のホットフラッシュや気分の浮き沈みを感じるように。これを機にいろいろと調べ始めたところ、「カフェインの摂りすぎは更年期症状を悪化させることもある」という情報に目が止まり、ドキッとしました。

「えっ、カフェインってダメなの?でも、全然飲めなくなるのはつらい……」

そうつぶやきながら、手元のコーヒーカップを見つめます。

【カフェイン】更年期への3つの影響

コーヒーなどに含まれるカフェインは、飲み方によってさまざまな更年期症状を助長してしまう可能性があります。なぜなら、更年期は女性の体が大きく変化するため。主な3つの影響をくわしくみてみましょう。

1.自律神経

更年期には、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が急激に減り、自律神経が乱れやすくなります。自律神経の働きの一つは、血圧や心拍・体温・発汗などを調整すること。そのため、自律神経が乱れると、人によってホットフラッシュや疲労感・めまい・不眠・イライラなどの更年期症状が起こるのです。

カフェインには、自律神経のひとつである交感神経を優位にする作用があります。更年期女性がカフェインを摂りすぎると、ただでさえ乱れやすい自律神経のバランスがさらに乱れることに。そして、更年期症状を悪化させてしまう可能性があります。

たとえば、ホットフラッシュのある女性がカフェインを多く摂ると、症状が頻繁に起こったりひどくなったりする場合もあるので注意が必要です1)

2.睡眠の質

カフェインの摂りすぎによって睡眠の質が悪くなりやすいのも、更年期女性に多い悩みの一つです。

更年期の女性ではエストロゲンの分泌が少なくなることが原因となり、寝つきにくくなったり朝早く目が覚めてしまったりすることも少なくありません。また、ホットフラッシュなどの症状によって、途中で目が覚めてしまう女性もいます。

また、加齢によりカフェインの代謝は低下します。一般的に、カフェインを摂った後に効果が薄れてくるまでにかかる時間は2〜8時間ほど2)。しかし、カフェインの代謝が下がってしまうと、その作用が残りやすく、寝つきにくくなったり眠りが浅くなってしまうのです。

3.骨粗しょう症

カフェインは、女性ホルモンの減少によって起こりやすい骨粗鬆症にも影響する可能性があります。

エストロゲンの働きの一つは骨の代謝を調整し、骨量を維持すること。更年期にエストロゲンが減少すると、骨粗鬆症になりやすくなります。

カフェインには利尿作用があり、カルシウムが排出されやすくなります。そのため、更年期女性がカフェインを摂りすぎると、骨粗鬆症のリスクをさらに早めてしまう可能性があるのです。

骨の量や強度が一度減ってしまうと、回復させるのは容易ではありません。更年期世代の女性は、骨粗鬆症にならないように早めに工夫することが大切です。

チョコレートにも!カフェインの適切な摂取量

では、カフェインはどのくらい摂ってもよいのでしょうか?

カフェインといえばコーヒーのイメージが強いかもしれませんが、さまざまな食品に含まれています。たとえば、紅茶・煎茶・ウーロン茶・エナジードリンク・チョコレートなど。それぞれの食品に含まれるカフェイン濃度は大きく異なります。

1日摂取量の目安としては、欧米各国ではカフェイン400㎎=コーヒーマグカップ2〜3杯までに抑えることが推奨されています3)。知らない間にさまざまな食品からカフェインを摂取しているケースも少なくありません。更年期の女性は、1日のトータル量が増えてしまわないように気をつけましょう。

また、カフェインの感受性には個人差があります。更年期症状が気になる方は、カフェインの摂りすぎは避け、より少ない量に控えることをおすすめします。

《デカフェ・ハーブ・時間帯》更年期のカフェイン対策

つらい更年期症状を感じている女性は、人によってカフェインを摂ることに不安を感じてしまうかもしれません。安心してカフェインを楽しむためには、先ほどご紹介した1日摂取量を目安にしながら、飲み物の選び方やカフェインを摂る時間帯を工夫してみましょう。

最近ではデカフェやカフェインレスのコーヒーは種類が豊富で、美味しさのクオリティーもアップしています。カフェインは摂りたくないけれどコーヒーを飲みたいという方におすすめです。

気分転換やリラックスしたいのであれば、カフェインを含まないハーブティーなどを上手に取り入れてみましょう。ハーブによって香りや効果が異なるので、自分好みのハーブティーを探すのも楽しみ方の一つです。

どうしてもコーヒーを飲みたいという場合は、遅くとも15時頃までに留めておくのが無難。ただし、カフェインの代謝は人によって異なります。それでも睡眠の質が悪くなる場合は、カフェインを摂るのはお昼頃までにして、それ以降はデカフェやハーブティーなどを上手に取り入れてみましょう。

上手にコーヒーブレイクを楽しみましょう

コーヒーなどに含まれるカフェインには交感神経を優位にする作用があることなどから、摂りすぎるとホットフラッシュや不眠といった更年期症状を強めてしまう可能性があります。

ただし、カフェインをまったく摂ってはいけないということではありません。コーヒーなどを飲むことが気分転換や楽しみになっている女性もいることでしょう。

更年期を元気に過ごすためには、不安定になりやすい心と体をリラックスさせることが大切。自分の体調を確かめながら、デカフェやハーブティー、カフェインを飲む時間帯などをうまく工夫して、コーヒーブレイクを楽しみましょう。

出典

  1. An Exploratory Study on Perceived Relationship of Alcohol, Caffeine, and Physical Activity on Hot Flashes in Menopausal Women, Kandiah J & Amend V, Health, 2010. 
  2. NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター. カフェインと睡眠.
  3. 食品安全委員会. 食品中のカフェイン.
その不調はコーヒーのせいかも!? 1日何杯ならOK?

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この記事を書いた人

榎本真美子のアバター 榎本真美子 【看護師・保健師】

看護師・保健師
女性の健康総合アドバイザー
薬膳コーディネーター

都内総合病院の婦人科・乳腺科などに勤務後、女性総合診療のクリニックに従事。女性ホルモンと体・心のつながりについて理解を深め、さまざまな患者さんをサポートする。
その後、家族の転勤に伴い海外生活を経験。
健康管理やセルフケアの大切さを実感し、看護師ライターとして健康に役立つ情報発信に努めている。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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