更年期は歯周病に注意!女性ホルモンと歯の関係

「最近、歯がズキズキと痛む」
「更年期になって歯茎が腫れやすくなった」
このような症状に悩んでいませんか?女性ホルモンバランスの乱れから体調が変わりやすい更年期は、ホットフラッシュなどの体の不調だけでなく、歯のトラブルが起こることもあります。とくに、更年期によくみられる歯周病に注意が必要です。
今回は、更年期になぜ歯の不調が起こりやすいのか、女性ホルモンと歯の関係を分かりやすく解説します。また、歯周病を予防する方法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
虫歯じゃないのに「歯が痛い」「歯茎が腫れる」
「虫歯はありませんね」
歯医者で、医師からこう言われた美香子さん(51歳)
奥歯が痛くて眠れない日々が続いていたのに、虫歯じゃないなんて……と腑に落ちない気持ちになりました。虫歯じゃないなら、この痛みは何なんだろうとモヤモヤしています。
美香子さんのように、40~50代の更年期世代で、虫歯ではないのに歯の痛みやうずき、歯茎の腫れを訴える女性は少なくありません。実は、更年期と歯の不調には関係があるのです。
更年期で歯の不調が起きる理由は【女性ホルモン】
更年期を迎えると、卵巣機能の低下によりエストロゲンという女性ホルモンの分泌が乱高下しながら減っていきます。この女性ホルモンバランスの乱れによって、歯や歯茎に次のような影響が生じます。
影響1:骨密度の低下
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは骨の代謝を調節する役割があります。そのため、更年期にエストロゲンの分泌が少なくなると、骨密度が低下しやすくなります。
顎や歯を支えている骨もその影響を受ける場所の一つ。歯を支えている骨がもろくなると、歯がぐらつきやすくなり、歯の痛みなどを引き起こす歯周病の危険性が上がると言われています。

影響2:ドライマウス
エストロゲンの分泌が少なくなると、唾液が減り、ドライマウスになりやすくなります。
唾液の作用の一つは、口の中の汚れや細菌を洗い流すこと。そのため、唾液が減ってしまうと、口の中の細菌が増え、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまうのです。

歯周病の症状は?放置するとどうなる?
そもそも歯周病は、プラークと呼ばれる細菌のかたまりが、歯の表面や隙間に沈着することで、炎症を起こしてしまう状態です。1
すると、初期症状では、歯がムズムズする・歯茎が腫れるなどの症状が起こります。中程度にまで進行すると、歯が浮いたような感じがするケースもあります。
だんだんと歯茎が下がり、歯の根本が露出してしまうため、冷たい飲み物がしみるなどの知覚過敏が生じる場合も。痛みのせいで歯磨きが十分にできず、歯周病がさらに悪化してしまうことも少なくありません。
歯周病を放置すると、重症化して歯が抜け落ちてしまうケースもあります。そのため、歯周病はなるべく早めに予防・治療することが大切です。
更年期の歯周病を予防するケア
歯の不調は食べるときに支障が出るだけでなく、ストレスに感じて生活の質全体を落としてしまうことも。更年期は仕事や子育てなどにより疲れが溜まりやすい時期でもあるため、早いうちから歯周病ケアをして予防しましょう。
正しい歯磨き
更年期の歯周病を予防するために、まずは毎日の歯磨きが大切です。
硬すぎる歯ブラシや強い力でのブラッシングは、歯茎を傷付けてしまうため注意が必要です。特にお口のトラブルのない場合はふつう、出血や歯茎の腫れがある場合は柔らかめの歯ブラシでのブラッシングとフロスを使用して、歯周病の原因であるプラークを取り除くようにしましょう。
歯と骨を丈夫にする生活
歯と骨が弱まるのを防ぐためには、栄養バランスの整った食事も大切です。とくに、鮭・イワシなどの魚類やキノコ類に多く含まれるビタミンDと、牛乳・チーズなどに多く含まれるカルシウムを積極的に摂取しましょう。
また、適度な運動は歯や骨を丈夫にしてくれる効果があります。ウォーキングやヨガなど、軽い運動は無理なく続けやすいのでおすすめです。
定期的な歯科受診
歯周病を予防するためには、セルフケアだけではなく定期的な歯科検診を受けることも大切です。
自宅での歯磨きでは、歯周病の原因になるプラークは完全に取り除くことはできません。一般的に推奨されている3ヶ月に1回ほどのペースで歯科で口の中の状態をチェックしてもらい、プロによるブラッシングを受けることで、歯と歯茎の健康を守りましょう。
今日からケア開始!将来の歯を守りましょう
更年期は女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が低下することで、歯周病になりやすいことをお伝えしました。
女性ホルモンの変化はどうしても避けられません。歯の痛みや不調をなるべく避けるためには、適切な歯周病ケアを取り入れることが大切です。
さらに年を重ねても美しく健康な歯を保てるように、早速、今日からケアを始めてみましょう。
出典