更年期の口臭が気になる!原因や対策・セルフケアを解説

「最近、口の乾燥が気になる」
「以前より口臭が強くなった気がする」
更年期を迎え、口臭の変化に悩む方は少なくありません。また、口臭が気になると、人と話すことに不安を感じたり、マスクを外すのが怖くなったりすることがあるかもしれません。
こうした悩みを改善するためには、更年期特有の口腔トラブルを理解し、適切なケアを取り入れることが大切です。
この記事では、更年期における口臭の主な原因と、生活に取り入れやすい対策を詳しく解説します。毎日のセルフケアを見直し、口の中の環境を整えましょう。
更年期女性の口臭は何が原因?
更年期になると、口臭が気になりやすくなることがあります。その主な原因として、女性ホルモンの変化による唾液分泌の低下や、ストレスが挙げられます。12
唾液は口内の自浄作用を担い、細菌の繁殖を抑える役割を果たしていますが、更年期にはこの唾液の分泌が減少しやすくなります。その結果、口内が乾燥し、口臭が強くなることがあるのです。
また、ストレスも唾液の分泌を抑える要因の一つとされており、更年期特有のホルモン変動と相まって口臭を悪化させることがあります。3
このように更年期の女性は、口の中が乾燥している状態=ドライマウスになりやすく、口臭の大きな原因となっているのです。
ドライマウスとは
ドライマウス(口腔乾燥症)とは、唾液の分泌量が減少し、常に口の中が乾燥している状態を指します。[1][2] 症状としては、舌が赤くなったり、口の中がカラカラに感じたりすることが挙げられます。
ドライマウスを引き起こす原因は、加齢または更年期障害なども挙げられますが、それだけではありません。主な原因として、以下のようなものが複合して起こることもあります。
- 糖尿病
- シェーグレン症候群
- 放射線障害
- ストレス
- 筋力低下
- 薬の副作用
ドライマウスは「口の老化」につながる
唾液が少なくなると、口内の細菌が増えやすくなります。その結果、歯周病や虫歯のリスクが高まり、さらに口臭を悪化させることにもなります。加えて、口腔内の粘膜が傷つきやすくなり、炎症を起こしやすくなることもあります。
更年期になると、唾液の分泌量が減少するだけではありません。唇や舌などの筋肉の衰えを意味する、「オーラルフレイル」と呼ばれる状態に進行し、食べ物を飲み込みにくくなるリスクが高まります。4
オーラルフレイルは、放置すると誤嚥性肺炎のリスクを高めます。特に高齢者に多いとされていますが、若い世代でも誤嚥性肺炎を発症する可能性があるため、適切なケアが重要です。
更年期で声のかすれが気になる方は、以下の記事も参考にしてください。

口臭は病気のサインかも?
口臭には大きく分けて「生理的口臭」と「病的口臭」があり、「病的口臭」には口腔由来・全身由来のものがあります。[3]5
更年期による口臭は「生理的口臭」に含まれますが、病気が隠れているリスクもゼロではありません。そのため、歯科クリニックなどへの相談が推奨されます。
生理的な口臭
誰でも起こりうる口臭で、以下のような状況で発生しやすくなります。
- 起床時
- 空腹時
- 緊張時
- 疲労時
- ホルモンバランスの変化(妊娠時、月経時、思春期、更年期など)
- 嗜好物・飲食物・薬物による影響(ニンニク・アルコール・薬物など)
病気による口臭
口臭の中には、病気が原因となっているものもあります。
- 歯科口腔の病気(歯周炎、特殊な歯肉炎、口腔粘膜の炎症舌苔、悪性腫瘍など)
- 耳鼻咽喉の病気(副鼻腔炎、咽頭・喉頭の炎症、悪性腫瘍など)
- 内科の病気(糖尿病:アセトン臭、肝疾患:アミン臭、腎疾患:アンモニア臭など)
もし通常のケアをしても改善しない場合は、歯科や内科の診察を受けてみましょう。
40代・50代から始める!口臭対策
更年期世代では、口腔内の乾燥が原因で口臭が発生しやすくなるため、日常生活の中でできる対策を取り入れることが大切です。
口の中を保湿する
口の中の乾燥感を抑えるために、こまめな水分補給を意識しましょう。
また、アルコールフリーのマウスウォッシュを活用するのも効果的です。口の中をスッキリさせつつ、乾燥を防ぐ効果が期待できます。外出中や仕事中には、マウススプレーも選択肢の1つです。殺菌作用を持つマウススプレーは口臭対策にもなり、ミントフレーバーやハーブ配合のものを選ぶと、リフレッシュ効果も得られるでしょう。[2]
口呼吸を避ける
口呼吸が習慣になっている場合は、鼻呼吸を意識し、夜寝る時に口閉じ用のテープを貼るのも1つの方法です。
鼻づまりやアレルギー症状のために口呼吸になってしまう人は、耳鼻咽喉科で相談してみましょう。
唾液分泌を促すマッサージをする
唾液の分泌を促すためには、耳下腺・顎下腺・舌下腺のマッサージを行うのも効果的です。
- 耳下腺マッサージ:人差し指から小指までの4本指を頬に当て、上の奥歯あたりを後ろから前へ10回回す
- 顎下腺マッサージ:顎の骨の柔らかい部分に親指を当て、耳の下から顎の下まで5回ずつ押す
- 舌下腺マッサージ:顎の真下から両手の親指を突き上げるように10回押す
唾液は1日1〜1.5リットル分泌されます。これらのマッサージを取り入れることで自然な分泌を促し、口臭の予防につながります。6
ゆっくり噛んで食べる
唾液の分泌を促すために、ゆっくり噛んで食べる習慣を取り入れましょう。
食事の際は、1口ごとに30回以上噛むことを意識すると、自然と唾液の分泌が促され、口腔内が潤いやすくなります。慣れないうちは、ゆっくりと噛むことを意識するだけでも効果があります。
正しいブラッシングをする
口腔内を清潔に保つためには、正しいブラッシングが欠かせません。自分の口の状態に合ったブラッシング方法を知るために、かかりつけの歯科医に相談し、適切な指導を受けましょう。
適切なブラッシングを行うことで、歯垢の蓄積を防ぎ、口臭の発生を抑えることができます。
舌ブラシや歯間ブラシ・フロスを使用する
口腔内を清潔に保つためには、舌ブラシや歯間ブラシ・フロスの活用が有効です。舌の上に蓄積する舌苔は口臭の原因になりやすいため、優しくブラッシングして取り除きましょう。
また、歯垢を除去するために、歯間ブラシやフロスを使って歯と歯の間の清潔を保つことも重要です。
ストレスを溜め込まない
ストレスを溜め込まないことも口臭対策には欠かせません。ドライマウスはストレスの影響を受けやすいため、リラクゼーションや趣味を取り入れてリフレッシュする習慣を持つことが大切です。
適度な運動や深呼吸、好きな音楽を聴くなど、ストレスを軽減する工夫を心がけましょう。
更年期はオーラルケアで口臭予防
更年期の口臭は生理的なものであり、適切なケアを行うことで改善が期待できます。
また、更年期はオーラルフレイルを予防するための重要な時期でもあります。口臭が気になる場合は、セルフケアを実践しつつ、必要に応じて歯科を受診することが大切です。
口腔環境を整えるために、かかりつけの歯科医を持ち、定期的なメンテナンスを受けることも有効です。口臭が強い場合は病気が原因の可能性も考えて、専門医へ相談することも検討しましょう。
出典