更年期は周りに甘えよう!自分を変えると周りも変わる

おせっかい薬剤師の気になる! シリーズ vol.17 一人で抱え込まないで 更年期は受け入れると楽になる
  • URLをコピーしました!

関西のとある薬局。

 昼休みの時間帯に、近くにある大きな会社の名札をつけたまま飛び込んできた40代後半の女性。

仕事の途中であることが容易に察することができますが、お昼休みの時間は限られているので、大概皆さん急いで必要なお薬だけ買って帰られるのですが、今回の女性は少し様子が違うようです。

目次

体がすっきりしないから栄養ドリンクを下さい

患者さん

栄養ドリンク剤はありますか?

岡下さん

カフェインが入っているものや、滋養強壮、美容タイプなどありますが、どのようなタイプがお好みですか? 

患者さん

最近、体の調子がどうにもすっきりしなくて…… 

岡下さん

では元気になる滋養強壮タイプがいいかもですね

と言って、私は疲労回復に良いドリンクを目の前に差し出すも、ドリンクには手を伸ばさず、まだ何か話し足りないようでした

そこで私は会計をする手をとめて、お話しを聞いてみることにしました。

「更年期で体調が悪い」なんて誰にも言えない

患者さん

体の調子が悪いとか職場では誰にも言えないんよ
サボってるなんて思われそうで

岡下さん

体調が悪いときって本当に自分が思うように動けないですよね
どんな症状が気になるんですか?

患者さん

急に体が熱くなって、特に会議中なんかに汗が吹き出してしまって困るんよ

それに、集中力が続かないし、頭もぼんやりしてしまって
若い子に負けへんように頑張りたいけど、思うようにできない自分にイライラしてまうねん
周りから感情の波も激しくて扱いづらいって思われてる気がして、そしたら突然涙が出たり……

患者さん

こんな自分が嫌で、自分がダメな人間になった気がしてしまうんねん

岡下さん

それは辛いね
まずは自分を責めすぎへんようにしなあかんね

岡下さん

体の調子が悪いときには、無理をせず医師や専門家に相談することも大切ですよ

この女性に起こっていたのは、更年期症状による不調だったのかもしれません。

本来ならば、職場でも更年期症状が起きている状況を共有して、理解してもらうのが良いのですが、職場によってはそれができない環境がいまだに多く、また「更年期は厄介なもの」と本人の思いが強いと、なおさら言えない場合もあります。

この場合まずは本人が更年期について理解することが大事です。

誰にでも不調はあることを受け入れる 

なんの前触れもなく突如として襲って来る体調不良である更年期症状や更年期障害。症状の情報は知っているけど、自分ごととしてはなかなか受け入れられないものです。

まずは更年期における体と心の変化を、まず自分自身が受け入れることが大切です。そうすることで、職場での理解が高まり、誤解を克服する助けにも繋がります。

更年期の症状は男性にも起こる可能性がありますし、その他病気など体調不良は誰しもに起こりうることと捉え、自分自身を責めず、適切なサポートを受け入れることの大切さをしって欲しいです。

少しずつでもいいので周囲に相談 

患者さん

こんな気持ちになるのが怖いんよ
このままでは自分自身が潰れてしまいそうで……

岡下さん

今教えてくれた症状って、更年期の典型的な症状に似てますよね
体が発するサインなので、無理せず向き合うことが大切なんですよ 

患者さん

周りは私の体調なんて気にしてないみたいで、私が手を抜いていると思ってるみたいなんよ
実際、仕事のスピードが遅くなったとか、ミスが増えたとか言われたこともあって……
でも、それが私のせいじゃなくて、体が思うように動かないからだなんて、誰も分かってくれへんねん

岡下さん

それは本当に苦しいね
更年期の症状は見た目には分かりにくいので、周りに誤解されやすいんです
でも、それをずっと一人で抱え込むのは限界があります

岡下さん

職場の誰かに相談することは考えてないんですか?

患者さん

そうやね……でも、話したところで『そんなの甘えだ』とか、『みんな大変なんだよ』って言われるんじゃないかって怖くて
結局、自分が我慢するしかないのかなって思うんよ

岡下さん

その気持ちも分かりますよ
でも、少しだけ勇気を出してみませんか?

岡下さん

たとえば、信頼できる同僚や上司に『最近体調が不安定で、少しだけペースを調整させてほしい』って伝えてみることは難しいかな?

全てを話す必要はないけど、少しずつ理解を得るのが大切やと思うよ

患者さん

なるほど……全部話さなくてもいいんやね
確かにそれならできるかもしれへんわ

更年期は自力で耐えるものというイメージがまだまだ強いのですが、婦人科でホルモンバランスをチェックしてもらったり、漢方やホルモン補充療法で症状を軽減する方法もあります。

婦人科を受診するにあたって「何を相談すればいいのか分からない」「どこから話せばいいのか迷ってしまう」などの相談も受けますが、「最近体調が不安定で、何が原因か知りたい」とだけ伝えれば大丈夫です。

誰かに頼ることは甘えではなく解決策

 女性活躍推進の中で、突然の役職や責任を任されることが増え、それがプレッシャーとなって悩みを抱える方も少なくありません。自分の努力や頑張りだけで乗り越えようとする方が多いですが、時には一人で解決できないこともあります。

更年期の体の変化は、誰にでも起こりうる自然なものであり、それを理解して受け入れることが大切です。そして、誰かに頼ることは決して甘えではなく、自分自身のためになる解決策のひとつです。

特に「甘えることに慣れていない世代」の方々が更年期を迎えています。どうか、自分を責めず、体をいたわる選択をしてください。その姿勢が、後輩たちの健康や働き方のロールモデルにもなるでしょう。

おせっかい薬剤師の気になる! シリーズ vol.17 一人で抱え込まないで 更年期は受け入れると楽になる

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

「TRULY」LINE公式アカウント

女医や専門家による正しい情報を配信中!

この記事を書いた人

岡下真弓のアバター 岡下真弓 【薬剤師】

フリーランス薬剤師
JAAアロマコーディネーター協会認定講師

化粧品メーカー研究開発や薬剤師の知識を生かし、女性の健康と美容をテーマにした講演活動を行っています。 歳を重ねるにつれ、衰えや失われていくものはあります。また更年期世代は仕事で負う責任が大きくなり、後ろ向きな気持ちになりがちです。私は人の美しさとは、その人の生き方次第で変えることが出来ると多くの患者様から教わりました。

「歳を重ねる事をネガティブに捉えずセクシーに健康に楽しみましょう」

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

<専門家の皆様へ>
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。

目次