女性ホルモンの変動から見るライフステージとキャリアビジョン

記事更新日: 2020/06/29 TRULY編集部

【監修医師】宋 美玄(ソン ミヒョン)

各ライフステージで起こる女性の体の変化

 女性のライフステージは、大きく思春期、成熟期、更年期、高齢期に分けられ、女性ホルモンの分泌レベルも変動していきます。まず、多くの女性は仕事を始め、キャリアを形成する時期と、身体が妊娠・出産に適する時期が重なります。そして、晩婚、晩産が進む近年では、責任ある仕事に就く時期と妊娠・出産・育児・介護が重なったり、重要なポジションを担う時期と更年期が重なったりすることもあるでしょう。各年代に起こる女性ホルモンの変動、ライフステージにより起こりやすい体調の変化を見ていきましょう。


20代/将来に向けてキャリアと共に体づくりを意識して!

・女性ホルモン…女性ホルモンエストロゲン分泌がピークを迎え、心身共に活力のある時期。

・特に気を付けたい疾患…月経の異常(月経困難症、PMS、月経不順、無月経)、性感染症、摂食障害、子宮頸がん(20代前半から急増)など。

・妊娠のしやすさ…20代がピーク。22歳を1.0とすると20代後半は0.9ほどに。



20代 意識したいセルフケア

>婦人科かかりつけ医を見つける。

>月経の異常を放置しない。

>カルシウム、ミネラルバランスを意識した食生活。

>将来子どもを望むなら、「葉酸摂取・適正体重の維持・予防接種・禁煙」を心掛け、身体づくりを意識。

 

30代/ライフスタイルの多様化が進む年代。ライフプランを具体的に描いていこう

・女性ホルモン…エストロゲン分泌のピークを過ぎ、後半は徐々に分泌が低下していく。

・特に気を付けたい疾患…子宮内膜症、子宮筋腫、子宮頸がん、甲状腺の病気(バセドウ病)など。

・妊娠のしやすさ…22歳を1.0とすると30代半ばからは0.6~0.4に徐々に低下。

 

30代 意識したいセルフケア

>婦人科系の疾患のリスクが上がるため、婦人科検診の受診を習慣に。

>仕事、家事・育児は周囲へのサポートを上手に受け、頑張り過ぎない。

>子どもを望むなら、身体づくりを意識しつつ、出産・子育てを組み込んだライフプランを練る。

 

40代/エストロゲンの減少により、体の変わり目を迎える時期

・女性ホルモン…卵巣機能が低下し始め、エストロゲンの減少が加速する。月経周期や経血量の変化、のぼせ、イライラなどの心身症状が現れる人も。

・特に気を付けたい疾患…乳がん、卵巣脳種、甲状腺の病気(橋本病)、うつ病など。

・妊娠のしやすさ…22歳を「1.0」とすると、40歳を過ぎると0.3、0.2…となり45歳頃には0.1以下に。不妊治療をしても45歳を過ぎるとほぼ難しくなる。

 

40代 意識したいセルフケア

>ホルモンのアンバランスによる不調を放置しない。違和感があれば速やかに婦人科医へ相談を。

>検診の徹底。年に1度は婦人科検診、2年に1度は乳がん検診(マンモグラフィー)受診を。

 

50代/エストロゲン欠乏による心身症状が起こりやすい時期

・女性ホルモン…卵巣機能の低下が進み、急激にエストロゲンが減少。卵胞の消失によって月経がなくなる「閉経」の平均は50.5歳。その前後5年ずつ(約10年間)が「更年期」。

・特に気を付けたい疾患…エストロゲンに守られていた骨、血管、肌、粘膜などに変化が現れやすくなる。更年期障害、子宮体がん、卵巣がん、関節リウマチ、生活習慣病、骨粗鬆症など。

 

50代 意識したいセルフケア

>更年期の症状は放置せず、婦人科医の受診を。ホルモン補充療法や漢方など自分に合う治療の選択を。

>エストロゲン欠乏により、コレステロール値や血圧値が上がりやすい。食事・運動・睡眠の見直しを。

 

60代~/生活習慣病や骨粗鬆症に注意。自分のための時間を充実させて

・女性ホルモン…閉経後、エストロゲン分泌はほぼ0になる。

・特に気を付けたい疾患…生活習慣病(脂質異常症、動脈硬化、高血圧、糖尿病)、骨粗鬆症、尿失禁、子宮下垂・子宮脱など。

 

60代 意識したいセルフケア

>介護は一人で抱え込まず、周囲のサポートを上手に活用。

>生活習慣病にかからないよう、食事・運動・睡眠を見直す。エストロゲンに守られていた骨、血管、肌、粘膜などにさらに変化が現れやすくなる。

 

 

ライフイベントを置き去りにしないで

 キャリアビジョンを考える上で、参考にしたい情報の一つが“年齢と妊娠・出産”。将来子どもを望むなら生殖年齢の適齢期があることを心得て、ライフイベントを置き去りにしないようなビジョンを持つことが大切です。

 家族を持つのも、子どもを持つことも個人の選択の自由です。その選択の材料として、この知識を持っておくのもよいでしょう。

 

年齢と妊娠・出産、不妊のコト

・初産平均年齢は30.7歳(※1)。

・女性も男性も分岐点は35歳。徐々に生殖能力が低下し、妊娠率が下がる。

・40歳を過ぎるとセクシャルアクティビティも低下傾向に(性交が盛んではなくなる)。これを補うために人工授精や体外受精の力を借りるケースも少なくない。

・体外受精による出生率も年齢と共に低下。30歳で21.5%、35歳で18.4%、40歳で9.1%、45歳で1%以下(※2)。

・年齢が高くなると流産のリスクも上がる。全年齢の平均流産率は約15%。35歳で約20%。40歳で約40%のリスクを負うことになる(※3)。

・不妊を心配したことのある夫婦は3組に1組を超え、子どものいない夫婦では55.2%にのぼる(※4)。

・不妊の原因の半分は男性。治療を受ける場合は、男性も一緒に受診、検査するのが鉄則。

 

※1 厚生労働省「平成27年人口動態統計」

※2 日本産科婦人科学会 2015年ARTデータブック

※3 母体年齢と流産『周産期医学』vol.21 no.12,1991-12

※4 国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」(2015)

 

働き方・生き方を柔軟に選択する上でも健康管理をしっかりと!

 働き方も生き方も多様化する時代。仕事をするか、しないかという二択ではなく、ライフステージに合わせて働き方を変えたり、キャリアを横に広げたり、時には低空飛行で人生を俯瞰しながら仕事と向き合うという方法もあるでしょう。

 

価値観が変わりつつある時代の中で、自分にとっての幸せは何か、大切にしたいものは何かなど、自分の内面と向き合うこともキャリアビジョンを考える上で重要です。

そして、こうした様々な生き方、働き方を選択し、実現するためには、心も体も健康であることが全ての根幹になることを忘れないでくださいね。




【監修医師】宋 美玄(ソン ミヒョン)

丸の内の森レディースクリニック 院長/医学博士。子育てと産婦人科医を両立、メディア等への積極的露出で“カリスマ産婦人科医”として、様々な女性の悩み、セックスや女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

・このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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