更年期「二の腕が痛い」のは四十肩の兆候!?
「二の腕が痛くて、なんだかズキズキする…」
このような症状で、日常生活のちょっとした動作が億劫に感じることはありませんか?
もしかしたら、その痛みは「四十肩」や「五十肩」の兆候かもしれません。更年期にはホルモンバランスの変化が体にさまざまな影響を与え、関節や筋肉に不調が出やすくなります。この記事では、更年期に起こりがちな二の腕の痛みの原因と、対策について解説します。
「二の腕の外側がズキズキ」四十肩・五十肩の症状かも
更年期世代の女性が感じる二の腕の痛みの原因として、「四十肩」や「五十肩」が挙げられます。
四十肩・五十肩とは?
四十肩・五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれるもので、肩関節周りの筋肉や腱が炎症を起こし、強い痛みが生じます。
加齢やホルモンバランスの変化、運動不足、スポーツによる肩への負担などが原因と考えられていますが、明確な原因はまだわかっていません。
ちなみに、「肩こり」は血行不良が主な原因であり、四十肩・五十肩とは異なる症状です。
四十肩・五十肩の症状
肩や二の腕の強い痛み、肩関節の動きの制限が主な症状です。急性期・慢性期・回復期の3つの段階があります。
急性期(炎症期)
痛みを感じ始めてから数ヶ月の時期。二の腕や肩周辺に強い痛みが現れます。安静にしていても痛みを感じることが多く、腕を動かすことが困難になります。
慢性期(拘縮期)
急性期が終わった後の期間で、痛み自体は少し和らぎますが、肩の動きに制限がかかり、特定の姿勢や動作で痛みが出ることがあります。
動かさずにいた部分が固まって拘縮し、可動域が狭くなります。特に、腕を上げたりひねったりする動作に制限がかかります。
回復期
肩の可動域が徐々に改善していく時期です。痛みはほとんど感じなくなります。積極的に肩を動かすことで症状がさらに改善されるため、この時期にはリハビリテーションが重要です。
更年期にはどうして関節・筋肉が痛くなる?
更年期に関節や筋肉が痛む理由には、ホルモンバランスの変化が関係しています。
更年期になると、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が大幅に減少します。エストロゲンは関節を構成している関節包や靭帯、滑膜などの柔軟性を保つ役割を担っていますが、エストロゲンの分泌が減ると、これらの組織が硬くなり、痛みやこわばりを感じやすくなります。
エストロゲンの減少は、関節だけでなく筋肉にも影響を及ぼします。筋肉の柔軟性が失われ、硬直しやすくなるため、動くたびに負担がかかりやすくなります。特に、肩や膝、腰といった部位で痛みが起こりやすいと言われています。
さらに、自律神経の乱れも関節や筋肉の痛みに関与しています。ホルモンバランスの変化により自律神経が乱れると血流が悪くなり、関節や筋肉に必要な栄養や酸素が十分に供給されなくなります。その結果、筋肉が緊張しやすくなり、痛みや疲労感を感じることが増えます。
姿勢や運動習慣の影響も無視できません。姿勢の悪さや運動不足は関節や筋肉に余計な負担をかけ、結果的に痛みを引き起こしやすくします。
《四十肩・五十肩》二の腕の痛みの治し方
日常的にストレッチを取り入れることで、肩関節を柔らかく保ち、痛みや症状の進行を防ぐ効果が期待できます。
*ストレッチは無理に行わず、リラックスしてゆっくりと呼吸をしながら行いましょう。
*痛みが出る場合はストレッチを中止して、医師に相談してください。
【予防】ストレッチでセルフケア
2つの簡単なストレッチを紹介します。
肩の上げ下げ運動
背筋を伸ばして椅子に座り、両手はまっすぐ左右に下ろします。
肩をすくめるように斜め後ろへゆっくりと上げます。
そのまま5秒キープし、ゆっくり肩を下げていきます。
これを5〜10回ほど繰り返します。
タオルストレッチ
- 長めのタオルを持ち、片方の手で上から、もう片方の手で下からタオルを掴みます。
- 上の手を固定し、下の手でタオルを軽く引っ張り、肩を心地よく伸ばします。
- 10秒ほどキープしてから、ゆっくり戻します。
- これを左右3〜5回ずつ行います。
【強い症状】整形外科で相談
痛みが強く、日常生活に支障をきたしている場合は、早めに整形外科を受診することが大切です。
整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像診断を行い、肩関節の状態を詳しく調べます。炎症や関節の拘縮(硬くなって動きにくい状態)が確認された場合は必要に応じて治療をおこないます。
治療としては、痛みを抑えるための薬物療法や、肩周辺の筋肉を緩めるリハビリテーション、物理療法(温熱療法や電気療法など)が行われることが一般的です。症状が重い場合は、関節内へのステロイド注射や外科的な治療が検討されることもあります。
「ピリピリ痛い・腫れている・しこりがある」他の原因の可能性も
二の腕や肩周辺に「ピリピリする痛み」「腫れ」「しこり」などがある場合は、注意が必要です。
考えられるその他の原因
- 帯状疱疹
帯状疱疹では、神経に沿った鋭いピリピリした痛みとともに、赤い発疹が現れます。抗ウイルス薬による治療が必要です。
- 石灰沈着性腱板炎
肩の腱にカルシウムが沈着し、激しい痛みや腫れを引き起こします。
- 関節リウマチ
自己免疫疾患である関節リウマチは、関節の慢性的な痛みや腫れが続きます。症状が悪化する前に、専門医の診察を受けることが重要です。
- 腫瘍
長期間続く痛みやしこりは腫瘍(悪性の場合はガン)によるものの可能性もあります。異常を感じたら、早めに受診しましょう。
四十肩・五十肩に似た症状でも、他の病気が原因となっていることもあります。上記のような症状がある場合には、早めに受診することが大切です。
更年期の二の腕の痛みはセルフケアで予防
更年期に二の腕の痛みを感じたら、それは四十肩・五十肩の兆候の可能性があることをお伝えしました。ホルモンバランスの変化による影響で、関節や筋肉が硬くなり、痛みが出やすい時期です。しかし、セルフケアと適切な治療を続ければ、多くの場合は改善が見込めます。日常的にストレッチを取り入れて柔軟性を保つことで、痛みや症状の進行を防ぎましょう。
ただし、ピリピリした痛みや腫れ、しこりがある場合は、他の病気が原因の可能性もあるので、早めの受診が重要です。