【更年期の胸の張り】閉経したのになぜ?病気の可能性は?

更年期?乳がん?閉経したのに胸が張るのはどうして?
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更年期世代の女性の中には「胸の張り」に悩む人が少なくありません。なぜ更年期に、生理前のような胸の張りが起こるのでしょうか?

更年期に起こる胸の張りの主な原因はホルモンバランスの変化】ですが、病気が関係していることもあります。本記事では胸の張りの原因や対策、病気の可能性について詳しく解説します。

目次

「胸が大きくなった?」「張って痛い」更年期世代の胸の悩み体験談

50代のTさんは、去年閉経したばかり。ホットフラッシュや肩こりなどの自覚はありますが、それほど困った更年期症状は感じずに過ごしていました。

そんなTさんですが、最近気になっていることがあります。

それは【胸が張ること】です。何となく下着のサイズが合わず胸が大きくなった気がしたり、張りが強い時には痛みを感じたり……。

「もう生理もないのに胸が張るのはどうして?」と、Tさんは更年期に起こった胸の変化に悩んでいます。

【更年期症状】で胸が張る?

胸の張りは更年期症状の一つです。

女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは、乳腺の発達や乳房の組織に影響を与えます。

更年期には女性ホルモンの分泌量が乱高下しながら徐々に減少します。この不安定なホルモンバランスが、胸の張りを引き起こす要因です。

多くの場合、胸の張りは一時的なものであり、ホルモンバランスが安定するにつれて改善されます。しかし、しこり強い痛みがある場合は、早めに医師に相談しましょう。

40代・50代に多い《乳腺症》が原因

他に胸の張りを感じる原因として、乳腺症が考えられます。

乳腺症は、女性ホルモンのバランスが崩れることで起こる乳腺の変化の総称です。乳腺症は特に40代から50代の女性に多く見られます。

乳腺症の明確な原因はわかっていませんが、ホルモンバランスの変化(特にエストロゲンの分泌)により乳腺が過剰に反応し、乳房にしこり痛み張りを引き起こすと言われています。

痛みが強い場合には以下のような治療法があります。

  • 内服:エストロゲンの分泌を抑える薬を使用することで症状を軽減します。
  • 痛み止め:痛みや炎症を抑えるための薬を使用することで、一時的に症状が緩和します。
  • 漢方:ホルモンバランスを整える作用を持つものがあり、症状の緩和に役立ちます。

乳腺症の診断は乳がんとの鑑別が重要です。触診マンモグラフィー(レントゲン)乳房超音波検査(エコー)を行い、悪性の疑いが無く、症状が軽い場合には経過観察が可能です。

「生理がないのに胸が張る」のは乳がん?

胸の張りがあるからといって、すぐに乳がんを心配しなくても大丈夫です

更年期を迎えた女性が、生理がなくなった後に胸の張りを感じることがあります。この症状が乳がんによるものかどうか、気になる人も多いでしょう。

胸の張りが乳がんの初期症状であることは稀です。多くの場合、ホルモンバランスの変化によるもので、必ずしも悪性とは限りません。

乳がんの典型的な症状には、以下のようなものがあります。

  • 乳房のしこり
  • 乳房の皮膚の変化(くぼみやしわ)
  • 乳頭からの異常な分泌物
  • 乳頭の陥没

上記の症状がある場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。

乳がんは早期発見がとても重要です。習慣的にセルフチェックを行い、触り心地を覚えておくと、小さな変化にも気づきやすくなります。

<セルフチェックの方法>

➀鏡の前で乳房を観察し、左右の形や大きさ、皮膚の変化を確認します。

➁手のひらで乳房全体を優しく触り、しこりや異常を探します。

 

➂乳頭からの分泌物がないか、軽く絞って確認します。

【ホルモンバランスによって胸が張る】場合の対策

ホルモンバランスによって胸が張る場合には、以下のような対策が効果的です。

適切な下着を選ぶ

しめつけの強い下着は避け、胸への負担を減らしましょう。

自分の心地よいと感じる生地や形状を選ぶことで、胸の張りを感じにくくなります。ゆるすぎるものは痛みや不快感が増すことがあるため、適切なサイズを着用しましょう。

ストレス管理

ストレスはホルモンバランスを乱す要因となるため、ストレス管理は大切です。

ヨガや瞑想、深呼吸などのリラックス法を取り入れることでストレスを軽減し、ホルモンバランスが整います。アロマテラピーや温かいお風呂、趣味の時間を持つこともリラックス効果があり、ストレス解消に役立ちます。

栄養バランスの良い食事

栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

とくにオメガ-3脂肪酸ビタミンB6ビタミンEマグネシウムなどはホルモンバランスを整える作用があります。カフェインアルコールは自律神経が乱れがちになるため、摂りすぎには注意が必要です。

定期的な運動

適度な運動はホルモンバランスを整える効果があります。ウォーキングや軽い運動を日常に取り入れましょう。

十分な睡眠

毎晩7~8時間の睡眠は、ホルモン調整に欠かせません。規則正しい生活リズムを維持しましょう。寝る前にスマホを見る時間を減らすことで、睡眠の質の向上にもつながります。

気になる胸の張りがあれば病院で相談しましょう

胸の張りは更年期症状の一つですが、乳腺症などの病気が原因の場合もあるということをお伝えしました。

更年期はホルモンバランスが変動し、胸の張りの原因になることがあります。ホルモンバランスを整えるための対策を取り入れてみてください。

乳がんのセルフチェックも大切です。痛みやしこり、乳頭からの分泌物がある場合は、早めに乳腺外科を受診するようにしましょう。

更年期?乳がん?閉経したのに胸が張るのはどうして?

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この記事を書いた人

十枝明日香のアバター 十枝明日香 【看護師】

総合病院にて13年、職場を変え乳腺外科クリニックで勤務。その間、婦人科疾患の手術と重症妊娠悪阻により入院を経験。3児の子育て中で、自分自身が女性のキャリアや働き方の壁に突き当たり、仕事・育児・夫婦関係について、楽しみながら模索している最中。女性特有の悩みに左右されることなく、日々ご機嫌さんに過ごすことが当面の目標。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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