【幸せ】を感じる更年期のセックス
関西のとある薬局。
いつも明るい60代の女性との会話です。
初夏のある日、女性は皮膚科の処方箋を持参しました。
デリケートゾーンはいつも湿っているもの?
保湿剤が処方されているけど、乾燥が気になるんですか?
擦れて痛いから、どうにかなってるのかと思って病院行ってん。
そしたら先生が乾いてるから痛いんやでって。
そうやね。
お肌が乾燥したら、潤いがなくなってしまって、そこが擦れると痛くなるんですよ。
でも、ここはいつも濡れてるはずやと自分では思うんやけどな……
まだたくさん汗をかくような季節にはなってないですよ
いや、おまたなんていつも湿ってると思うんやけど
なるほど。
でもトイレのたびに拭き取っていたら、カサつくこともあるんです。
とくに私たちみたいな更年期世代はデリケートゾーンも乾燥しやすいから。
恥ずかしい話やけど、みんないつまでセックスしてるんやろか?
この年になったら、いったいなんのためにセックスするのかわからんねん……。
長年お父ちゃんと連れ添ってきたけど、今さらって気がしてな。
しかもこないだあんまり痛いから途中で「やめて」って言うてもうたんや。
そしたらお父ちゃんえらい落ち込んでしまって……。
私の体がおかしいんかと思って病院に行ってきたっていうわけなんよ。
セックスレスの原因は「性交痛」?
婚姻関係のセックスレスは年々増加しています。
ジェクスジャパンセックスサーベイによると、2004年31.9%だったのが、20年後の2024年には64.2%とほぼ2倍にセックスレスの割合は増えています。
一方で婚姻外の相手と関係を持つようになったのかといえばそうでもなく、その割合は20年たっても同じ比率です。
この患者さんのように性交痛に悩んでいる女性は、4人にひとり程度いるというデータがあります。1セックスレスの原因の多くを占めているのは、性交痛の悩みなのかもしれません。
デリケートゾーンを守る【いい菌】
この保湿剤はね、おまたのあたりに塗って欲しいけど、膣の中にまで入れて塗る必要はないですよ。
1日2回、朝起きて着替える時とお風呂上がりに、表面だけ、さっと塗っておいてくださいね。
表面だけでいいん?
自然と中に入るからそれでいいんです。
そして洗いすぎも気を付けてくださいね。
元々膣の中には、悪い菌が入ってこないようにする働きがあるんやけど、洗いすぎたらその働き悪くなってしまうんですよ。
おまたに悪い菌がいたら怖いね……
バリアする常在菌っていう、いい菌を大事にしないとダメなんです。
今流行ってる腸活と似てるね
いいこと言いますね!そうそう同じですよ
更年期のセックスを楽しむために
長年連れ添ったパートナーの関係性は、時間の経過と共に変化していきます。
子育ても終え、セックスを含めた自分の時間をイキイキと過ごせる人もいます。一方で、更年期を機にホルモンの影響を受け、若い時のようにセックスを楽しめない女性もいます。
更年期だけでなく、その日の体調・ストレス・緊張・不十分な前戯・婦人科疾患・二人の関係性・セックスにそもそも嫌悪感がある・おりものなど自身の性器の不快感など、性交痛の理由はたくさん考えられます。
今回の女性のように膣の乾燥に悩んでいる女性には、ドラッグストアなどで販売されているゼリーを使用すれば痛みが回避できると言われていますが、塗るタイミングがわからないという相談も受けます。
男性主導の性行為ではなく、二人で会話を楽しみながら、お互いを労りあってコミュニケーションツールの一つとしてセックスを楽しむことができれば良いですよね。
自分で幸せを感じる方法「セルフハグ」
もう一つお伝えしたいのが、相手の有無やセックスに限らず「自分自身で幸せを感じることはできる」ということです。
私がいつもみなさんにお伝えしている幸せを感じる方法は「ハグ」です。
15秒のハグは脳内のストレスを半分に減らすとも言われています。これはパートナーとだけでなく、ペットや自分自身を抱きしめてもOKです。
年を重ねるにつれ不安なこと、物悲しさが募ることも増えてきます。
そんな時にぜひ「セルフハグ」を取り入れてみてはいかがでしょうか?
《出典》
- Online survey of genital and urinary Symptoms among Japanese women aged between 10 and 90 years-Climacteric. DOl: 10.1080/13697137.2020.1768236-
H. Ohta, M. Hatra, K. Ota, R. Yoshikara & S. Salvatore ↩︎