「更年期は何科?」病院の選び方&かかり方
「夜中に汗をかいて何度も目が覚める」
「突然ほてって顔が熱くなる」
「気分が落ち込んで何もしたくない」
このような症状を我慢して過ごしていませんか?
更年期には9割以上の女性がさまざまな不快症状を経験すると言われています。「更年期だから仕方ない」と決めつけてしまい、必要な治療を受けずに過ごす女性も少なくありません。
更年期の症状は適切な医療を受けることで大きく改善する見込みがあります。この記事では更年期症状での受診の目安と病院の選び方について解説します。
更年期症状・更年期障害で病院にいくべき?受診のタイミングは?
日常生活に支障をきたすほどの不調がある場合は、ためらわず病院で相談しましょう。
「つらいけど我慢できないほどではない」と感じている場合、受診の目安になるのが「簡略更年期指数(SMIスコア)」です。更年期に関連する10項目の症状に応じて点数をつけ、その合計点で更年期障害の程度を判断することができます。
SMIスコアの詳細
症状 | 強 | 中 | 弱 | 無 |
1.顔がほてる | 10 | 6 | 3 | 0 |
2.汗をかきやすい | 10 | 6 | 3 | 0 |
3.腰や手足が冷えやすい | 14 | 9 | 5 | 0 |
4.息切れ、動悸がする | 12 | 8 | 4 | 0 |
5.寝つきが悪い、または眠りが浅い | 14 | 9 | 5 | 0 |
6.怒りやすく、すぐイライラする | 12 | 8 | 4 | 0 |
7.くよくよしたり、憂うつになることがある | 7 | 5 | 3 | 0 |
8.頭痛、めまい、吐き気がよくある | 7 | 5 | 3 | 0 |
9.疲れやすい | 7 | 4 | 2 | 0 |
10.肩こり、腰痛、手足の痛みがある | 7 | 5 | 3 | 0 |
出典:小山ら更年期婦人における漢方治療:簡略化した更年期指数による評価 (1992-9-30. 34号 産婦人科漢方研究のあゆみ)
51点以上の場合は医師の診察を受けましょう。50点以下であっても、更年期の症状がつらいと感じているなら、一度医療機関で相談することをおすすめします。
【婦人科・内科・心療内科】更年期は何科で相談できる?
更年期の症状は体のあらゆる部分でみられ、さらに心の症状も含まれるため、どの診療科に行くべきか迷うことがありますが、婦人科で相談するのが一般的です。
婦人科
身体的な症状が主である場合、例えばホットフラッシュや不正出血、睡眠障害など、ホルモンの変動に関連する症状に悩んでいるなら、婦人科や更年期外来のある病院を選ぶのが最適です。
内科
更年期症状なのか他の健康問題によるものなのか判断がつかない場合は、かかりつけの内科で相談するとよいでしょう。内科医が必要に応じて専門科に紹介してくれます。
心療内科/精神科/メンタルクリニック
気分の落ち込みや不安、イライラといった精神的な症状がメインで生活に影響を与えている場合には、心療内科や精神科での相談が適切です。心療内科の受診に抵抗がある場合は、婦人科での相談も可能です。
その他の症状への対応
肩こりや腰痛、関節痛の悪化が更年期症状である可能性もあります。整形外科を受診してもなかなかよくならない場合、「年齢のせいだから仕方がない」と我慢をせず、婦人科や更年期外来の受診を検討しましょう。
更年期の相談ができる病院の探し方
更年期の症状に対処するためには、婦人科や内科といった診療科にこだわらず、更年期障害の診断と治療に精通した医療機関を選ぶことが大切です。
《更年期外来》のある病院
産婦人科には4つの専門分野があります。「周産期」「腫瘍」「生殖医療」「女性ヘルスケア」に分かれており、更年期症状は「女性ヘルスケア」の分野に含まれます。
人気漫画『コウノドリ』のサクラ先生が専門とするのは「周産期」で、妊娠・出産に関わる医療を担当しています。子宮や卵巣などの婦人科系がん治療を専門とするのが「腫瘍」、不妊治療を担当するのが「生殖医療」、更年期障害や月経にともなう症状を扱うのが「女性ヘルスケア」です。それぞれの分野に、専門の医師がいます。
産婦人科という分野内でもこれだけ細かく分かれています。更年期の症状で受診するなら、更年期症状に詳しく経験豊富な医師を選ぶことが重要です。「更年期外来」を掲げている病院なら、専門的な診断とケアを受けられるので安心して相談できます。
周囲や口コミの評判がいい
周囲や口コミの評判を参考にするときは、「更年期世代」の女性たちから評判の良い医療機関に注目しましょう。
更年期の治療を受けた友人や家族から直接聞く話は、信頼できる貴重な情報源です。インターネット上の口コミも有益です。
ただし口コミを参考にする際は、他の人にとって良かった治療法や医師の対応が、必ずしも自分に合うとは限らないということに注意しましょう。最終的な判断は医師とのコミュニケーションやカウンセリングを通じて、慎重に行うことが重要です。
健康診断やがん検診を活用
健康診断やがん検診は、事前に病院の雰囲気を知るチャンスです。
検診時には医師やスタッフと話す機会があるので、自分に合う病院かどうか判断する手がかりになります。更年期の症状が現れても、馴染みのある医師やスタッフのいる病院で相談できるという安心感が得られます。
定期検診は他の健康問題の早期発見にも役立つため、積極的に受診しましょう。
「どうやって調べるの?」更年期の受診の流れ
更年期症状がある際の受診の流れや、検査内容は以下の通りです。
➀まずは問診!悩みをうまく伝えるためのメモを準備
婦人科受診の前に医師に伝えたいポイントを整理しておくと問診がスムーズです。
・気になる症状(例:疲労感、汗、不眠など)
・他にかかっている病気(お薬手帳を持って行きましょう)
・改善したいこと・知りたいこと(治療期間、費用など)
・月経の様子(最終月経、月経の周期、期間、量など)
診察のときに短時間でうまく話そうとすると緊張してしまいますよね。あらかじめ症状や困っていることを整理し書き出しておくことはとても大切です。上記の内容がわかれば、医師は治療方針を提案しやすくなります。
②検査で体の状態をチェック
血液検査
血液検査では女性ホルモン値を調べます。ほかの病気の可能性がないかを確認するために、コレステロール値や肝機能、甲状腺機能、血糖値なども一緒に調べるのが一般的です。
内診、超音波検査
子宮内膜症1)や子宮筋腫2)などの病気を除外するために、内診や超音波検査をすることがあります。病気がなければ、ホルモン補充療法などの更年期の治療に進みます。
1)子宮内膜症:子宮の内側を覆う「子宮内膜」が子宮以外にできてしまう病気
2)子宮筋腫:子宮の筋肉層に発生する良性の腫瘍
骨密度検査
更年期には女性ホルモンであるエストロゲンが減少し骨粗しょう症のリスクが高まるため、骨密度検査を行うことがあります。
病院選びの【よくある疑問】
婦人科は女医さんのほうがいい?
個人の考えによります。同性である女医さんの方が話しやすいと感じる人もいるでしょう。
しかし、重要なのは医師の専門知識と経験です。性別に関係なく、自分が信頼できると感じる医師を選びましょう。
先生と合わないと思ったら病院を変えてもいい?
病院を変えることは可能です。
現在の医師と相性が合わないと感じたら、他の医師や病院を探すのも一つの選択です。自分自身が安心して受診できる環境を選びましょう。
更年期の悩みは病院で気軽に相談しよう
更年期の症状に対処するためには、更年期世代の評判が良く、更年期障害の診断と治療に精通した医療機関を選ぶことが大切だとお伝えしました。
更年期に関連する症状は個人差が大きく、身体的・精神的にさまざまな形で現れます。日常生活に支障をきたすほどの不調がある場合は、ためらわずに受診しましょう。
「つらいけど我慢できる」「病院にいくほどではない」と感じる程度の症状でも、気軽に受診して相談してください。早めの対応が快適な更年期の生活を保つカギとなります。
自分に合った病院を見つけ、正確な診断と適切なケアで更年期を乗りこえましょう。