【質問】更年期と似た症状で、ほかに考えられる病気はありますか? その場合、どうやって見分ければよいでしょうか?
質問
更年期と似た症状で、ほかに考えられる病気はありますか? その場合、どうやって見分ければよいでしょうか?(甲状腺の病気を想定しています)
回答
更年期になるとエストロゲン減少によるホルモンバランスの乱れにより、のぼせ・発汗・動悸・頻脈・不眠症・イライラしやすいなどの症状や、逆に徐脈・抑うつ・気力減退など、多様な症状が生じることがあります。ただし、このような症状がすべて更年期障害とは限らず、他に原因がある場合もあります。
首の中央にある甲状腺という臓器から分泌される甲状腺ホルモンは、新陳代謝を活発にす
る作用を持つホルモンです。このホルモンは多すぎても少なすぎても体調不良を起こします。甲状腺の疾患は女性に多く、更年期障害で起こる症状に似た症状を起こすこともあります。
甲状腺ホルモンが多すぎる場合を「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)」と言い、代表的なものにバセドウ病、少なくなってしまう場合を「甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)」と言い、代表的なものに橋本病があります。
甲状腺ホルモンが多いと身体の新陳代謝が活発になり過ぎ、「寝ていても、ジョギングしている」と例えられるほど身体の機能が活動的な状態になって、脈が速くなり動悸感を感じる、疲れやすい、イライラしやすい、落ち着きがなくなる、汗かきになる、体重が減るなどの症状が出てきます。
逆に低下症では全身倦怠感が強く、何もしたくない、やや鬱気味といった状態になり、寒がりになったり、体重が増加し、脈がゆっくりになったりします。
いずれも、少しずつ症状が出る場合はなかなか気が付きにくいこともあります。症状に気が付いたら、婦人科や内科のかかりつけ医に相談し、甲状腺疾患が隠れていないかチェックしてもらうことも大切です。
(C)Adobe Stock