更年期「喉の違和感・つかえ」は病気のサイン?
40代・50代の更年期には、つかえ感やイガイガ・ヒリヒリなど【喉の違和感】を訴える人が増えます。
喉の違和感は生命に関わらないため、病院を受診される方は少ないのですが、症状が長く続くと「何か悪い病気でないか」と不安になり、ドクターショッピングを繰り返す原因になることも。
今回は「更年期の喉のつかえ」について解説します。
鼻ではなく【喉のつかえ】を訴える50代女性
またこの人や
ほぼ毎週耳鼻科の処方箋を持参され、さらに眼科と整形外科の処方箋も毎月持参される50代前半の女性。薄化粧で、髪は染めておらず、明らかに仕事帰りとわかるスタイルで、いつも閉店間際に来られます。
いつも無言で、ずっとうつむいたままの彼女。
コミニュケーションの取り方が難しく、毎週来られるのに、ただお薬を渡して終わってしまいます。
しかし今日は新しく抗生剤が長期で処方されていました。
よし!今日こそチャンス!
頭の中でストーリーを描きつつ、私はカウンターに向かいました。
抗生剤は細菌の感染を予防するために処方されるため、喉・鼻・気管支など呼吸器系の感染症や、ぼうこう炎など尿路系の感染症、抜歯・手術後などの方に投与されます
数多い抗生剤の中でも、ある種類の抗生剤は、後鼻漏(粘りのある鼻水が喉の奥を流れる、痰がからむ、咳が止まらないなどの症状)の症状がある場合長期で服用されます。
今回この抗生剤が長期で処方されていたので、尋ねてみました。
今日新しいお薬が処方されていますが、鼻が詰まった感じが続くのですか?
いえ……鼻ではなく喉が詰まっています
ぼそっとその女性が答えました。
喉の違和感「イガイガ」「ヒリヒリ」「つまり」原因は?
「喉がイガイガ・ヒリヒリする」「喉がつまった感じがする」など、喉に違和感が表れることがあります。喉の違和感だけでなく舌の違和感を訴える場合もあります。
しかし、病院で検査をしても原因のはっきりしないものを【咽喉頭異常感症】と呼びます。
何か症状があれば「悪いところや異常があるはず」と考えがちです。しかし咽喉頭異常感症は、「のどに球が詰まっているようだ」と訴える人が多いことからヒステリー球とも呼ばれ、ストレスが引き金になりやすいと言われています。他に、鉄欠乏性貧血、自律神経失調症、糖尿病等の様々なことがきっかけで引き起こされることがあります。
喉の違和感も更年期障害のひとつ
今回お伝えしたいのは、更年期障害の一つにこの【咽喉頭異常感症】が含まれていることです。
喉の違和感で婦人科を受診する方はほとんどいないでしょう。
大概の方は、この女性のように耳鼻咽喉科を受診されます。
そして様々な検査を繰り返し、「異常がない」と言われ、漫然と薬が投与され続けます
ホルモンバランスを含む「身体的要因」と親の介護、子供の自立、定年問題などの社会的環境変化を含む「心理的要因」が合わさって、喉の違和感が表れると言われています。
更年期の喉の違和感には気を巡らせる《漢方・薬膳》
そこで私は、この女性に漢方薬を試してみることを提案しました。
なぜならば漢方では、このような症状を「梅核気」と呼ばれており「気が上逆して咽喉を塞いでしまう病」と考えます。
梅核気は「気」の巡りが悪い「気滞」によって起こる症状と捉えられています。
そのため、喉の違和感を訴える方には、気を巡らせる漢方薬が使われることが一般的です。
しかしこの女性は「医師の処方した薬以外は服用しない」とおっしゃったので
普段の生活で取り入れられる方法を提案しました。
タブレットでもガムでもなんでも構わないので「ミント味のものを選んでください」とお伝えしました。
ミントは薬膳では、滞っているものを発散させ、気血の流れをよくすると言われています。
香りが気分をリフレッシュさせるので、イライラした時にもおすすめです。
思わぬ原因の喉の違和感もある
そして最後に「胃に不快感がありませんか」と確認しました。
なぜならば
- 胃の内容物が喉へ逆流して直接喉を刺激
- 食道に逆流した胃酸の影響
の場合も喉の違和感が表れやすく、耳鼻科ではあまり確認されにくい項目だからです。
他にも、
- 骨格筋障害(例:重症筋無力症、筋強直性ジストロフィー、 自己免疫性筋炎)
- 食道圧迫を引き起こす頸部または縦隔の腫瘤病変
などが、喉の違和感の原因となることがあります。
喉のつかえなどの違和感は、更年期症状・更年期障害が関係している可能性があること、漢方や薬膳でのケアをお伝えしました。
みなさんも長引く喉の違和感が続く場合は、一度病院で相談をしてくださいね。