【質問】膣やデリケートゾーンに乾燥や痒みがあります。更年期と関係ありますか? また、どのように対策すればよいでしょうか?

  • URLをコピーしました!

~デリケートゾーンの痒みや乾燥の悩み。更年期における女性ホルモンの影響も含めて、皮膚科専門医がお答えします~

質問

膣やデリケートゾーンに乾燥や痒みがあります。更年期と関係ありますか? また、どのように対策すればよいでしょうか?

回答

デリケートゾーンのかゆみの原因には、大きく分けて「かぶれ」と「感染症」の2つがあります。

かぶれは、正式には「接触皮膚炎」と呼ばれ、外部からの刺激によって炎症を起こした状態です。原因となる刺激には、皮脂や汗、蒸れ、温熱、乾燥などの他、体質によっては特定の物質に接触することによって起こるアレルギー性のものもあります。女性の場合、生理中のナプキンやタンポンのヒモなどによる接触、経血による蒸れなどが、かぶれの原因になります。また、過度にデリケートゾーンを清潔にし過ぎることも、必要な皮脂を除去してしまい、うるおい不足の原因となるほか、最近では脱毛の施術による肌へのダメージも乾燥トラブルを引き起こしやすくなります。

更年期を迎えた女性は、更年期に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の減少のために腟周辺部のデリケートゾーンが乾燥しうるおい不足になり、より刺激性の接触皮膚炎をおこしやすく、痛みやかゆみ、湿疹などの不快症状の悩みを抱えている人が少なくありません。更年期の症状といえば、頭痛や肩こり、めまい、気分の浮き沈みなどが連想されますが、デリケートゾーンの乾燥もその一つです。女性ホルモンが減少すると、皮膚や粘膜のみずみずしさが失われ、ハリがなくなるなどの変化があらわれます。更年期を迎えていない若い人でも、出産や授乳、不規則な生活、ストレス、無理なダイエットなどでホルモンバランスが崩れることで、同様にうるおい不足が起こることがあります。

また本来、腟は酸性に保たれており、雑菌の侵入を防ぐなどの働きをしていますが、閉経後に女性ホルモンの分泌が衰えると、膣全体の機能が衰えます。膣内の潤いや柔軟性が無くなると共に膣全体が乾燥・萎縮し、雑菌の感染を招き炎症を起こす萎縮性腟炎にもかかりやすくなります。

 

対策

・トイレットペーパーでこすったり、おりものや尿のついたナプキンをつけたままにしたりしないようにしてください。

・陰部を洗浄する際には、固いスポンジやタオルなどは使用せず、よく泡立てた石鹸を手に取って優しく撫で洗いしましょう。石鹸が皮膚についている時間が長ければ長いほど皮膚は乾燥するので、短時間で洗い、泡残りが無いようしっかり流してください。デリケートゾーン用や赤ちゃん用の刺激の少ない石鹸を使用するのもおすすめです。

入浴後、保湿をしてあげることで刺激から肌を守り、かゆみやヒリヒリ感が改善することもあります。症状が改善しない場合や悪化する場合は産婦人科や皮膚科、泌尿器科を受診しましょう。膣やデリケートゾーンの乾燥や痒みといっても原因は多岐に渡るので、自分に合った治療法を提案してもらえます。

※更年期症状以外にも、「性感染症(STD)」を含む感染症も、デリケートゾーンにかゆみを起こす原因になります。性感染症とは、性的な接触によって感染する病気のことです。ただしデリケートゾーンが菌などに感染する経路は性行為に限りません。カンジダのように常在菌として体内に潜んでいる場合や、白癬菌のように公共の浴場などでもうつる場合があります。おかしいなと思ったら、まずは専門医にかかり相談してみることをお勧めします。

(C)Adobe Stock

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

「TRULY」LINE公式アカウント

女医や専門家による正しい情報を配信中!

この記事を書いた人

北朝霞メディカルクリニック院長
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
順天堂大学非常勤助教

大学病院で7年勤めたのち、美容皮膚科クリニックで研鑽を積み現職。 商品開発アドバイザリーやメディア取材など皮膚科領域で幅広く活動している。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

<専門家の皆様へ>
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。

目次