女性のための鍼灸師が教える!消化器症状編〜便秘〜あなたはどのタイプ?

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「東洋医学の観点から更年期に向き合うシリーズ」の消化器症状、最後のテーマは『便秘』です!

『便秘』は、排便の回数が減る、トイレに行ってもうまくいきめず出せない、といった症状です。

実は、2019年に行われた国民生活基礎調査において、国民全体の約35%、また65歳以上においては約69%の方が便秘症状があると回答しています。

便秘は慢性的に困っている方も多く、様々な解消法を試す人も多いのではないでしょうか。市販の薬剤や便秘体操など色々な方法が提唱されていますが、効果は個人差があります。

本シリーズでは東洋医学的視点でのセルフケアを学んでいますが、ぜひ便秘の解消方法のひとつとして取り入れてみてください。

目次

消化器症状編 ~便秘~

便秘とは、「本来出すべき糞便を、充分かつ快適に出すことができない」ことを言います。

便の特徴としては、水分が少なく硬い便です。2,3日に一回の排便でも特に苦痛がなければ便秘とは言えませんが、1日に2,3回出ても苦痛を感じる場合は便秘と定義します。

便秘の原因としては2つの型があり、それがこちらです。

①排便回数減少型

②排便困難型

①排便回数減少型

その名の通り排便の回数が少なくなります。こちらは内分泌疾患、膠原病、便秘型過敏性腸症候群といった疾患が原因で起こるもの、または薬剤が原因のものがあります。

その他、食物繊維が不足しているといった食生活が原因となって起こることもあります。

②排便困難型

便が硬くなることによりうまく出せない、また骨盤底筋や腹筋の筋力低下などにより出す力が弱まることが原因で起こります。

上記の理由以外にも、仕事などの関係で排便する時間を取れない、常にストレスや過度な緊張状態が続く生活をしているといった場合も、便秘へとつながっていきます。

食生活の見直しは必須ですが、ご自身の生活習慣を今一度見直すと、便秘の原因が見つかるかもしれません。

また多くの方が頼る薬剤ですが、市販の薬剤でも長く常用することで逆に便秘を誘発する場合もあります。薬の使用を迷う場合は、薬剤師や専門医へ相談をしましょう。

東洋医学でいう「便秘」とは?

東洋医学でも、便秘という考えは存在します。

大便秘結(ヒケツ)」と良い、腸に糞便が停滞し、数日~1週間排便がないこととして定義されています。

また、これに対して排便困難は「大便艱難(カンナン)」とよび、排便の間隔や時間は延長するが、排便周期は正常であるという状態を言います。

あなたはどのタイプ?

便秘という症状に加え、その他の特徴などから、ご自身の体を評価していきましょう!

ひとつでもチェックが当てはまれば、そのタイプに該当します。タイプはどれかひとつというわけではなく、いくつも当てはまる方もいるかもしれません。

①”エネルギー不足” による便秘タイプ

□息切れ何する

□疲労感が強い、疲れやすい

□食欲が出ない

□排便時に汗が出て疲労する

□何もしていないの汗が出る

②”過度なストレス” による便秘タイプ

□抑鬱感が強い

□イライラしたり、怒りっぽい

□胸や腹が張る

□頭痛がよくする

□目が痛い

③”冷えすぎ” による便秘タイプ

□排便困難感が強い

□腰や下半身が冷えやすい

□尿の色が薄い

□寒がりである

□浮腫みやすい

①のタイプ

消化器系が弱い、疲労などが酷く消化器が弱っている方などにみられる症状です。

消化器を司どる脾は、体のエネルギーとなる気や栄養である血を生成しています。

脾の働きが弱るとそれらが作られず、体の諸機能に影響がでます。その一つとして、便秘という症状が出ますが、その中でも便を出す力が弱まることが多いのが特徴です。

②のタイプ

過度なストレスや緊張状態の継続などが引き金となって起こる便秘の症状です。

心と体を一体と考えている東洋医学において、精神的な問題は体に影響をきたすと考えます。

この場合、本来は体中をめぐっているエネルギーである気の巡りが悪くなり、便を出す機能が働かずスムーズに出すことができなくなってしまいます。

③のタイプ

生命活動を司っている腎が冷えることによって起こる便秘症状です。

冷えが起因して、大腸の動きが悪くなるため、出す力が弱まります。

便秘以外にも、めまいや耳鳴りなど多くの症状をきたすことが多くあります。

ツボ押しでセルフケア!

あなたはどのタイプでしたか?

東洋医学では、出現している症状をひとつの病気と断定するのではなく、様々なことを複合して考えていきます。

いくつも当てはまったため、自分の体の症状が悪いというわけではないので安心してください。大切なのは、自分の体の症状を理解し適切な処置をしていくことです。

それでは、それぞれのタイプに良いツボをご紹介していきます。

ツボは、1回に5秒間程度2~3回、押しやすい指で痛気持ち良い程度に押しましょう!

目安は、毎日1回。習慣化していくのがベストなので、朝起きたらベットの中で、お風呂を出た後に、など時間を決めて押してみてください。

①のタイプの方

◇足三里(あしさんり)

<位置>

膝のお皿の下で、指4本分下がったところ。すねの骨の外側。

<効果>

消化機能の回復。

②のタイプの方

◇太衝(たいしょう)

<位置>

足の親指と人差し指の間を足首側に触っていくと、止まるところ。骨と骨の間。

<効果>

ストレスの解消に良い。眼精疲労や筋肉の疲労にも効果がある。

③のタイプの方

◇太谿(たいけい)

<位置>

内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ。

<効果>

老化や免疫力にも効果がある。泌尿器系や婦人科系の疾患に良い。

また、排便を促すツボとして下記のツボもよく使われます。

タイプ別のツボ以外にも、一緒に押すとより効果的です。

◇上巨虚(じょうこきょ)

<位置>

スネの骨の外側にある筋肉の上。膝の皿から指8本分下がったところ。

※出典

2019年国民生活基礎調査の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/04.pdf

矢野忠(2014年)レディース鍼灸 医歯薬出版株式会社

中医学基礎理論

http://www.hal.msn.to/bensho_ronji/ben121.html

矢野忠(2012年)鍼灸療法技術ガイドⅡ 株式会社文光堂

※イラスト引用(上から順番に記載)

https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=841879&word=足の甲%2C足の指

https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=1245444&word=下着姿の黒髪女性の全身イラスト

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この記事を書いた人

淺田麻希のアバター 淺田麻希 鍼灸師

「かかりつけ鍼灸師 for woman」代表として、女性特有の自律神経やホルモンバランスによる不調に特化して施術。自身も国内航空会社にてCA時代に、自律神経失調性の様々な体の不調を経験。その時出会った鍼灸にて、改善したことをきっかけに、家庭で社会で活躍する女性を健康面で支えると決意。施術だけでなく、お灸セルフ講座や、東洋医学的視点での体の不調などを学べるセミナーを開催している。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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