更年期症状と介護で「退職」を選んだ体験談

更年期は、女性ホルモンの変化により、心や体にさまざまな不調が現れやすい時期です。
「これって更年期?」「年齢のせいだから仕方ないのかも」と、不調を抱えながらも誰にも相談できずにいる人も少なくありません。
今回は、仕事と家庭、そして自身の体調変化が重なり、退職という大きな決断をされた理恵子さん(仮名・51歳)に、更年期のリアルな体験についてお話を伺いました。
イライラや発汗に戸惑いを感じ始めた40代後半
理恵子さんが体の変化を感じ始めたのは、40代後半に入ってからでした。
それまでは穏やかな性格で、仕事でも家庭でも感情を荒立てることはほとんどなかったといいます。
理恵子さん職場で後輩のちょっとしたミスが許せなかったり、家族の何気ない一言にカッとなってしまったりして。「私、なんでこんなに怒りっぽくなっているんだろう」と、自己嫌悪に陥ることが増えました。
精神的な変化に加えて、身体的な不調も徐々に現れるようになりました。仕事中、突然上半身がカッと熱くなり、汗が止まらなくなることがあったそうです。



接客中や同僚と話している最中に汗が噴き出すので、恥ずかしさと焦りで余計に汗をかいてしまうんです。
生理周期も乱れて、経血量が異常に増えることがあり、仕事中にトイレに行けない時は「漏れてしまったらどうしよう」と常に不安でした。
更年期には、女性ホルモンの低下により自律神経が乱れやすくなると言われています。理恵子さんのように、精神面と身体面のコントロールが同時に効かなくなることで、仕事への自信を失ってしまうケースは珍しくありません。
介護と職場のストレスが重なり、心身ともに限界へ
体調が優れない中、追い打ちをかけるように始まったのがご両親の介護でした。実家の父の体調が悪化し、母にも認知症の症状が見られるようになり、家庭内は常に慌ただしい状態だったといいます。



仕事が終わってからも、休日も、心が休まる時間がありませんでした。 当時の職場は経費削減の影響で空調が十分に効かず、ホットフラッシュの症状がある私にとっては過酷な環境でした。「介護があるので休みが欲しい」と相談しても理解されず、人間関係にも疲れ果ててしまって……。
健康な時であれば乗り越えられたかもしれない「職場のストレス」や「介護の負担」。 しかし、更年期の不調で心身のキャパシティが下がっている理恵子さんにとって、これ以上すべてを抱え込むことは不可能でした。



「このまま働き続けたら、自分が壊れてしまう」 そう強く感じたのは、50歳を迎えた頃です。心も体も限界で、これ以上自分を犠牲にして働き続けることはできないと思いました。
退職後に感じた変化と、残った不安
退職を決意し、職場に伝えた時は、正直なところ「これでもう、あのストレスを感じなくて済む」という安堵感が一番大きかったそうです。



最終出勤日を終えた翌朝、目覚めた時に「今日はもう行かなくていいんだ」と思うと、肩の荷が下りたような、憑き物が落ちたような軽さを感じました。久しぶりに自分自身の呼吸を取り戻したような感覚です。
もちろん、収入がなくなることへの不安や、「もう少し頑張れたのではないか」という罪悪感、社会から取り残されたような虚無感を感じることもあったそうです。それでも、「自分の体を守れた」という安心感の方が大きかったと話します。



退職後は、介護をしながらでも自分の体調に合わせて休めるようになりました。
ストレスが減ったせいか、イライラする頻度が減り、汗の症状も少し落ち着いたように感じています。
自分を犠牲にしない働き方へ、価値観の変化
今回の経験を通じて、理恵子さんの「働くこと」に対する考え方は大きく変わりました。「以前は正社員で長く勤めるのが当たり前と思い込んでいた」と語りますが、今は健康と生活のバランスが何より大事だという結論に至っています。



もしまた働くなら、フルタイムにこだわらず、自分のペースで続けられる仕事を選びたいです。介護も「自分がすべて背負わなければ」と思い詰めず、使えるサービスは使って、自分自身が倒れないように距離感を保つことが大切だと学びました。
限界まで頑張りすぎず、自分を守るための選択
更年期の不調や家庭の事情は、人それぞれ異なります。
「みんな頑張っているから」と無理を重ねてしまいがちですが、仕事との両立に悩み、「辞めたい」と感じることは決して甘えではありません。責任感が強い人ほど、限界まで頑張り過ぎてしまうものです。「どうしても辛い時は、休んでもいいし、逃げてもいい」そう思えるだけで、ふっと肩の力が抜けるかもしれません。自分を労わることを、何より大切にしてください。
※本記事は実際の体験談をもとに構成・編集しております。















