危険な不整脈とは?更年期との関係を解説

危険な不整脈とは?更年期との関係を解説
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40代・50代になって健康診断で不整脈を指摘されたり、突然の動悸や息切れを感じることはありませんか?

これらは更年期のホルモン変動に伴う一過性の変化であることが多い一方、なかには見過ごせない危険な不整脈が隠れていることもあります。

この記事では、不整脈の種類や更年期との関係、病院を受診すべきサインについて、分かりやすく解説します。

目次

「脈が飛ぶ、脈が抜ける」これって不整脈?

53歳の可南子さん(仮名)は、夜寝る前にベッドで横になっている時、鼓動が「トン、トン…スッ、トン」と不規則に感じられ、「あれ?今、脈が抜けた?」と思いました。

気のせいかと、手首に指を当てて脈を測ってみたところ、やはり時々“間が空くような”“飛ぶような”感覚がありました。その後も、静かにしているときや寝入りばなに同じようなことが何度か起こり、「これは普通じゃないかも」と心配に。年齢的に更年期の影響も考えたものの、「心臓の病気だったらどうしよう」と不安が募っています。

更年期に不整脈が起きやすい原因は「エストロゲン」

更年期になると、突然の動悸や息切れを訴える女性が増えます。実は、女性の更年期と不整脈には深い関係があるのです。

最大の要因は、女性ホルモンの「エストロゲン」の急激な減少です。エストロゲンは髪や肌の潤いを保つだけでなく、血管のしなやかさを守り、自律神経の働きを安定させるなど、全身を支える重要な役割を担っています。これらの作用は、心拍リズムの安定にもつながります。

更年期にはエストロゲンが急激に減少し、自律神経のバランスが崩れやすくなります。自律神経が揺らぐと心拍のリズムが不安定になり、動悸や脈が飛ぶような感覚として自覚されることがあります。

更年期にみられる不整脈の多くは、この自律神経の乱れに伴うもので、命に直結しないケースがほとんどです。

不整脈とは?どんな種類がある?

不整脈は大きく3つのタイプに分けられます。

脈が飛ぶ・抜ける《期外収縮》

もっともよく見られる不整脈です。通常のリズムより早いタイミングで心臓が収縮し、その後の一拍が間延びするため、「脈が飛んだ」「一瞬止まった」ように感じます。

健康な人でも日常的に起こりうるもので、ストレスや疲労、睡眠不足、喫煙、カフェインの過剰摂取が引き金になることがあります。

多くのケースで心配ありませんが、頻度が多い、胸の痛みやめまいを伴う、運動時に増える場合は受診が必要です。

心拍数が速くなる《頻脈性不整脈》

安静時でも心拍数が1分間に100回以上になる状態です。

【主な症状】

  • 動悸、息切れ
  • 胸の不快感、圧迫感
  • 不安感や焦燥感
  • めまい、立ちくらみ

なかでも注意すべきは心房細動(しんぼうさいどう)です。心房(心臓の上部)が小刻みに震え、血液の流れが滞り、血の塊(血栓)が形成されるリスクがあります。血栓が脳の血管に飛ぶと脳梗塞を引き起こす可能性があります。

心房細動は加齢とともに増え、更年期世代からリスクが上がります。自覚症状がなく、健診で偶然見つかるケースも少なくありません。

心拍数が遅くなる《徐脈性不整脈》

心拍数が1分間に50回未満になる状態です。脳や全身に十分な血液を送れず、以下の症状が出ることがあります。

  • 立ちくらみ、めまい
  • 息切れ、倦怠感
  • 失神

症状が強い場合や、日常生活に支障がある場合は治療が必要になることがあり、重症ではペースメーカー植え込み手術が検討されます。

受診すべき【危ない不整脈】のサイン

不整脈のなかには健康に影響のない一過性のものと、治療が必要となる危険なものがあります。一般的にこのような症状がみられた場合は、受診が必要となります。

【医療機関(循環器内科)への受診を検討すべき症状】

  • 胸の痛み、圧迫感、息切れを伴う
  • 脈が速く(目安として、安静時に100回/分以上)、リズムが不規則
  • 脈拍が極端に遅く(目安として50回/分未満)、めまいや失神を伴う
  • 不整脈の症状が頻繁に起こる、または長時間続く
  • ご家族に心臓病の人がいる、または自分に心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺疾患などの持病がある

不整脈に加えて以下の症状が一つでも当てはまる場合は、命に関わる可能性があります。迷わず119番をして救急車を呼んでください。

【すぐに救急車を呼ぶべき症状】

  • 突然の強い胸痛
  • 10分以上続く胸の圧迫感・締め付け(冷や汗や吐き気を伴う、顎や左腕へ痛みが広がる)
  • 強い息切れ・呼吸困難
  • 意識障害(意識が遠のく、失神、反応が鈍い)
  • 片側の手足の麻痺、ろれつが回らない(言葉が出にくい)などの脳卒中症状

40代・50代は「脈を取る」を習慣化!

「不整脈かもしれない」と感じたら、自分で脈を測る自己検脈を日常に取り入れてみましょう。不整脈の早期発見に効果的です。


《脈の測り方》

  1. 手首の内側(親指の付け根の少し下)にある動脈に、反対側の手の人差し指・中指・薬指の3本を軽く当てる
  2. 1分間の脈拍数を数える(30秒の測定値を2倍しても良い)。通常は60〜80回/分程度。
  3. 脈のリズムが一定かどうかを確認する

不規則な脈を感じたら、日時や状況、体調をメモしておくと受診時に役立ちます。最近では、スマートウォッチなどでも脈拍数を計測できるものもありますので、活用してみるのも良いでしょう。

不整脈で心配な時は循環器内科を受診しましょう

更年期にみられる不整脈の多くは自律神経の乱れに伴うものですが、なかには治療が必要なケースもあることをお伝えしました。

不整脈は自覚症状がないまま進行することもあるため、健診で不整脈を指摘された場合や、動悸や息切れ、めまいなどの症状が気になる、自己検脈で不規則な脈が続く場合は、早めに循環器内科を受診しましょう。

参考

危険な不整脈とは?更年期との関係を解説

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この記事を書いた人

十枝明日香のアバター 十枝明日香 【看護師】

総合病院にて13年、職場を変え乳腺外科クリニックで勤務。その間、婦人科疾患の手術と重症妊娠悪阻により入院を経験。3児の子育て中で、自分自身が女性のキャリアや働き方の壁に突き当たり、仕事・育児・夫婦関係について、楽しみながら模索している最中。女性特有の悩みに左右されることなく、日々ご機嫌さんに過ごすことが当面の目標。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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