閉経後の《茶色いおりもの》は不正出血?病気のサイン?
更年期は、女性の体にさまざまな変化が現れます。その一つが、おりものの変化です。特に、茶色いおりものが見られると、「これは何かの病気?」と心配になることもあるでしょう。
こうした変化は主にホルモンバランスの変動によるものですが、場合によっては病気のサインである可能性もあります。
この記事では、閉経後に茶色いおりものが出る原因と、受診のタイミングについて解説します。
更年期・閉経前後のおりものはこう変わる
健康な状態のおりものは透明から乳白色で、ほとんど臭いがありません。おりものは、潤滑作用や細菌の排除など、腟内の健康を保つために重要な役割を果たしています。
更年期にさしかかると、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少し始めます。すると、腟の粘膜が徐々に薄く、乾燥しやすくなってしまうのです。その結果、おりものの量は少なくなり、閉経から数年経つとおりものはほとんど出なくなります。
これらの変化は、年齢によるエストロゲンの減少に伴う自然な体の変化なので、過度に心配する必要はありません。
50代60代|茶色いおりものは不正出血?
不正出血とは、月経以外のタイミングで起こる出血のことです。閉経後に出血がある場合、それは月経ではないため、すべて不正出血として扱われます。
血液は出血してから時間が経つと、血液中のヘモグロビンが酸化し、茶色く変化します。茶色いおりものは、何らかの出血があり、ある程度時間が経過したものと考えられます。
閉経後に茶色のおりものが見られたら不正出血を疑い、早めに婦人科を受診することをおすすめします。
《更年期世代》茶色いおりものの原因
更年期世代の茶色いおりものについて、考えられる主な原因としては、以下のようなものがあります。
女性ホルモンの変動
更年期以降はエストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンの分泌が不安定な時期は、子宮内膜の状態も不安定になりやすく、少量の出血が起こることがあります。これが茶色いおりものとして出てくることがあります。
ストレス
ストレスは、ホルモンバランスや自律神経を乱す要因の一つです。
精神的なストレスや、体の疲れが溜まっている状態が続くと、ホルモン分泌に影響を及ぼし、不正出血の原因となることがあります。
萎縮性膣炎
萎縮性腟炎とは、エストロゲンの分泌量が減少することで腟が乾燥し、炎症を起こしてしまう状態です。ちょっとした刺激でも出血しやすくなってしまい、おりものが茶色っぽくなることがあります。また、性交痛や排尿時痛、かゆみなどの症状が現れることもあります。
子宮頸がん
子宮頸がんは、初期には自覚症状がないことが多いですが、進行すると不正出血が見られることがあります。性交後の出血や月経以外のタイミングでの出血は、特に注意が必要です。
予防・早期発見には、定期的な検診が重要です。
子宮体がん
閉経後の不正出血は、子宮体がん(子宮内膜がん)の重要な初期症状の一つです。
子宮体がんは主に50〜60代の女性に多く見られ、その特徴として初期段階から不正出血が現れやすいことが知られています。研究によると、子宮内膜がんと診断された女性の約90%が閉経後の出血を経験しているという結果が報告されています。11)
子宮体がんの症状には、不正出血のほかに下腹部の痛みや腰痛を伴うこともあります。これらの症状が現れた場合、特に閉経後の出血は重要なサインとして捉え、婦人科を受診することが大切です。
少量なら様子を見てOK?婦人科の受診は必要?
「少量だから大丈夫」と安易に考えてしまうのは危険です。量は多くても少なくても、月経以外の出血は全て不正出血です。以下のような場合は特に注意が必要です。
- 閉経後の茶色のおりもの(不正出血)
- 出血量が多い
- 鮮血が出る
- 腹痛や腰痛を伴う
- 性交痛や排尿時痛がある
閉経後に茶色いおりものが見られた場合は、たとえ少量でも早めに受診するようにしましょう。
「閉経後の茶色いおりもの」異常がないか確認を
今回の記事では、閉経後の茶色いおりものに関する原因や受診の目安についてお伝えしました。
茶色いおりものは子宮頸がんや子宮体がんなどの病気のサインである可能性があります。「少し気になる」程度の症状でも、早めに婦人科を受診し、検査や適切な治療を受けると安心です。
参考:
- Clarke MA, Long BJ, Del Mar Morillo A, Arbyn M, Bakkum-Gamez JN, Wentzensen N. Association of Endometrial Cancer Risk With Postmenopausal Bleeding in Women: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Intern Med. 2018 Sep 1;178(9):1210-1222. doi: 10.1001/jamainternmed.2018.2820. PMID: 30083701; PMCID: PMC6142981. ↩︎