性交痛が更年期で起きやすいのはなぜ?痛みをやわらげる3つの方法

「痛くてセックスが苦痛」40代・50代の性交痛について徹底解説!
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性交痛があることでパートナーとの関係に悩んだり、からだの変化に不安を感じたりしますよね。とくに多くの人が更年期を迎える40代後半以降は、女性ホルモンのバランスが変化し、性交痛が起こりやすくなります。

この記事では、性交痛と更年期の関係や、改善のための具体的なセルフケアをわかりやすくお伝えします。

性交痛の原因やセルフケア方法を知り、改善への一歩を踏み出したい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

【更年期の性交痛】2つの理由

更年期で性交痛が起きやすい理由は以下のとおりです。

  • 更年期によるエストロゲンの減少
  • 不安ストレスといった精神的な影響

性交痛がなぜ更年期で起こるのか知ることで、正しい対処法を取ることができます。

それぞれの理由のメカニズムを見ていきましょう。

更年期によるエストロゲンの減少

更年期の性交痛には、エストロゲンの急激な減少が影響しているといわれています。1)

エストロゲンは、膣の潤滑や弾力性を保つ女性ホルモンです。エストロゲンの減少により膣の粘膜が薄くなり、乾燥することで、性交時の痛みにつながるのです。

エストロゲンの減少によって膣の症状が引き起こされることを萎縮性膣炎(いしゅくせいちつえん)と呼び、閉経前後の女性に起きる、デリケートゾーンの不快な症状をまとめたGSM(閉経関連尿路性器症候群)に含まれます。

痛みの強さは人それぞれですが、症状が進むと痛みが続く可能性があるため、早期の対処が重要です。

精神的な不安やストレスの影響

更年期症状のひとつである不安感や、様々なストレスがかかることで、体が性交に自然に反応できなくなることがあります。すると膣の潤滑が不十分となり、挿入時の痛みにつながるのです。

また、リラックスできずに骨盤周辺の筋肉が緊張すると、性交時の痛みが強まる場合があります

精神的な問題によって起こる性交痛は、パートナーとの関係性や日常生活のストレスが影響します。

更年期の性交痛があらわれやすい場所

更年期に起こる性交痛は、あらわれやすい場所があると言われています。。それぞれの痛みの特徴をまとめました。

性交痛が起きやすい部位痛みの特徴
外陰部・ヒリヒリ感が強くなることがある・軽い摩擦でも痛みを感じやすい
膣の入口・性行為のはじまりや挿入時に痛みを感じる
膣の中(とくに奥)・行為中のお腹に響くような痛み・挿入中の摩擦で強い痛みを生じやすい

とくに外陰部膣の入り口(膣前庭)は、エストロゲンの減少によって乾燥や摩擦の刺激を受けやすく、潤滑不足で痛みが強くなります。

性行為中に言い出しにくいかもしれませんが、自身のからだを守るためにも我慢せずに中止したいとパートナーに伝えましょう。

「性交痛の原因は更年期?」確認する3つの方法

性交痛が更年期によるものかを確かめる方法は、以下のとおりです。

  1. あてはまる更年期症状があるか確認する
  2. 婦人科を受診する
  3. 自宅で女性ホルモンの状態をチェックする

原因を正しく知ることで、適切な対策や治療を見つけやすくなります。

ぜひ試してみてください。

1.あてはまる更年期症状があるか確認する

性交痛に加えて、以下の更年期症状であてはまるものがあるか確認しましょう。2)

  • 不眠
  • 動悸
  • 発汗
  • 頭痛
  • めまい
  • 関節痛
  • 気分の浮き沈み
  • ホットフラッシュ

更年期ではエストロゲンの減少にともない、体と心にさまざまな症状があらわれます。

性交痛とともに更年期症状があらわれている場合、更年期が原因である可能性が高いです。

2.婦人科を受診する

婦人科でホルモンの状態を調べてもらうことで、性交痛の原因が更年期か明らかになります。

性交痛の原因が女性ホルモンの低下に関連していることが分かれば、治療の提案や日常生活におけるアドバイスも受けられるため、早期の症状改善が見込めます。

性交痛が強い場合は、早めに婦人科に相談しましょう。

3. 自宅で女性ホルモンの状態をチェックする

自宅でホルモンの状態を簡単に確認できるセルフチェックキットを試すのも、ひとつの方法です。

なかには、性交痛で病院にいくのに抵抗がある方もいらっしゃいますよね。

チェックキットを活用すれば、病院に行かずに更年期の兆候があるかを推測できるため、受診の判断材料としても有用でしょう。

病院に行くのはハードルが高い……そんな時に

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ホルモンの変化にいち早く気づくことで、適切なタイミングでの受診に役立てられます。

ただし、性交痛の確定診断のためには病院での検査や診察が必要です。

確実な原因を知りたい方には病院受診をおすすめします。

性交痛が起こる更年期以外の原因

性交痛は、更年期以外に以下の原因で引き起こされます。

  • 不妊治療
  • 感染症や膣の炎症
  • 子宮内膜症や子宮筋腫など婦人科系の病気

ひとつずつ見ていきましょう。

不妊治療

不妊治療の一環でおこなわれるホルモン調整や薬剤の使用が、性交痛を引き起こします。

とくに、エストロゲンやプロゲステロンのバランスがくずれると膣の潤滑が不足し、性交痛が生じやすいです。

治療への精神的な負担が緊張感を高めることも、痛みが増す原因となります。

不妊治療中に性交痛が気になる場合は、かかりつけ医に相談し対策を検討しましょう。

感染症や膣の炎症

性感染症膣炎が原因で膣内に炎症が起きると、性交時に痛みをともないます。

膣の炎症によって膣内の環境が乱され、乾燥や刺激に弱くなると、性交痛が悪化する場合もあります。

おりものの増加・変化やかゆみをともなっていることが多く、これらの症状を感じた場合は早めに診察を受けるのがおすすめです。

子宮内膜症や子宮筋腫など婦人科系の病気

子宮内膜症子宮筋腫といった婦人科系の病気も性交痛の原因となります。

子宮内膜症や子宮筋腫は、病状が進行して性交時に痛みがあらわれる可能性があります。

そのほかの性交痛を引き起こす婦人科系の病気として、卵巣出血、子宮腺筋症、性器ヘルペス、バルトリン腺嚢胞などがあると言われています。

性交痛が強かったり性交後も痛みが続いたりする場合は、ただちに婦人科を受診してください。

適切な診断と治療を受けることで、症状の改善が期待できます。

更年期の性交痛は治る?婦人科での治療

更年期に起こる性交痛は、以下の治療を受けることで改善が見込めます。

  • ホルモン補充療法(HRT)
  • レーザー治療

性交痛があったら、婦人科を受診し専門医に相談することが大切です。

原因を特定し、適切な対処法を提案してもらうことが改善の第一歩と言えます。

ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法(HRT)は、更年期のエストロゲン不足による症状を軽減する治療法です。

更年期の性交痛は、エストロゲンの減少によって引き起こされるため、HRTによってエストロゲンを補充することで症状の軽減が見込めます。3)

HRTには、副作用のリスクがあることも理解しておきましょう。

日本人では乳がん発症リスクへの影響が少ないと考えられていますが、不正出血や静脈血栓のリスクがあります。

また、膣内に直接挿入(膣錠)してエストロゲンを補充する方法もあります。

性交痛に効果的とされる一方、エストロゲンの欠乏を根本的に解決するのは難しく、性交痛の改善を目的とする場合は長期間使用する傾向です。

どの治療法を選択しても不安なことは放置せず、医師とよく相談しながら治療を進めてください。

レーザー治療

レーザー治療は、膣の弾力性を回復させ、潤滑性を向上させる治療法です。

膣内の組織を刺激して再生をうながし、性交痛の改善に効果を発揮します。

ただし、レーザー治療が適しているかどうかは個人差があるため、医師と相談して最適な方法を選びましょう。

更年期の性交痛をやわらげるセルフケア

更年期による性交痛は、日常的なセルフケアで症状の改善がのぞめます。

以下を試してみましょう。

  1. ホルモンバランスを整える生活習慣
  2. 潤滑ゼリーの使用
  3. パートナーとのコミュニケーション

症状が改善できると、パートナーとより快適な関係を持てます。

1.ホルモンバランスを整える生活習慣

性交痛が更年期のホルモンバランスによる場合、生活習慣を改善してホルモンバランスを整えることで痛みがやわらぐ可能性があります。4)

  • 適度な運動:ウォーキングやヨガなど
  • 十分な睡眠:快適な寝具に変更、寝室を暗く保つことなど
  • バランスのとれた食事:イソフラボンやカルシウムを摂取

健康的な生活はホルモンバランスを整えるだけでなく、更年期症状の改善にもつながります。

日々の習慣を見直し、痛みをやわらげるきっかけをつくりましょう。

2. 潤滑ゼリーの使用

エストロゲン減少による膣の乾燥が原因で性交痛が生じる場合は、潤滑ゼリーの使用が痛みをやわらげます。5)

ウォーターベースの潤滑ゼリーは、香りや質感などが豊富で自分にあったものを選びやすく、はじめての方におすすめです。使うタイミングが早すぎると乾燥してしまうため、挿入直前に使用すると効果的です。

また、ゼリーと似た商品で「ローション」がありますが、ローションは体に塗ったりマッサージとして使われることが多い商品です。体用のローションを腟内に使用すると感染症のリスクが高まったり、膣の乾燥が高まったりする恐れがあります。

そのため、腟内の潤滑にはかならず製品の説明をよく確認して、膣内に使用できる潤滑ゼリーを使うようにしてください。

3. パートナーとのコミュニケーション

パートナーに自分の状況を伝えることも、性交痛を軽減する重要なポイントです。

痛みや不安について率直に話すことで、心の負担が軽くなりリラックスしやすくなります。また、お互いの状況や感情を理解し合うことで信頼関係が深まり、結果として痛みの軽減が期待できます。

一人で悩みを抱えず、安心して話せる雰囲気を作ることが大切です。協力しながら問題を解決していくことで、よりよい関係性が築けるでしょう。

性交痛の悩みを解消して更年期をもっと快適に

更年期による性交痛は、適切なセルフケアや治療をおこなうことで痛みがやわらぎ、パートナーとの関係もよりよくなることが期待できます。

痛みが改善すれば、自分に自信を持ち、日々の生活を楽しむ気持ちも湧いてくるでしょう。

健康的で前向きな生活を送るために、今回ご紹介したケア方法をぜひ試してみてくださいね。

1)更年期 | みんなの医療ガイド | 兵庫医科大学病院

2)〈おとな〉 vol.06 更年期障害について|独立行政法人国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター

3)高齢女性の健康を守る ホルモン補充療法

4)女性がいきいき生きるコツ|日本医師会

5)治療中の性生活について|国立がん研究センター

「痛くてセックスが苦痛」40代・50代の性交痛について徹底解説!

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この記事を書いた人

榎本なつみのアバター 榎本なつみ 【看護師・保健師】

総合病院のCCU・ICUでの経験を通じて、命を支える医療とともに、家族看護の大切さを学ぶ。退職後は訪問看護師として地域に根ざしたケアで利用者や家族をサポートしている。

自身が性に悩んだ過去や、更年期に苦しむ家族を目の当たりにした経験から、フェムテック分野に強い関心を抱くようになる。ライターとして、同じ悩みを抱える方々に向けて情報を発信し、自分のからだを大切にするための知識を広めることに力を注ぐ。

このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法や専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません。

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