体のかゆみは更年期症状?40代・50代のカサカサ肌対処法
「お風呂上りや寝る前に体がかゆくてガマンできない」
「肌の乾燥がひどくて粉をふいている」
秋から冬にかけては、こうしたかゆみや乾燥のお悩みが特に気になる季節。
40代から50代にさしかかる更年期は、エストロゲン(女性ホルモン)がゆらぐことで心身にさまざまな変化が現れます。体のかゆみやカサカサ肌も更年期症状の一つなのでしょうか。
更年期「全身かゆい」原因はホルモンバランスの乱れ?
更年期にはエストロゲンが減少し、ほてりや頭痛、ホットフラッシュなどさまざまな症状を引き起こしますが、皮膚のかゆみも引き起こすことがあります。
エストロゲンは、皮膚のコラーゲンを増やし、水分量を維持する働きを持っているため、減少すると皮膚が乾燥してしまうのです。この症状をドライシンドローム(乾燥症候群)と呼び、皮膚だけでなく、目や口、膣などでも乾燥を感じることがあります。
【更年期の肌の痒み】予防&対処法
加齢によるエストロゲンの減少を食い止めることは難しいですが、肌のカサカサやかゆみを予防したり、少しでもかゆみが改善したりする方法をみていきましょう。
ぬるめのお湯&入浴後はすぐに保湿
40度以上の熱いお湯では皮脂が奪われてしまうため、皮膚の乾燥を防ぐにはぬるめのお風呂が適しています。長時間の入浴も、肌の保湿成分が流れ出て乾燥に繋がることがあります。38~40度のぬるめのお湯で、お湯につかる時間は15分以内と短めの入浴にしましょう。
また、入浴後の肌は入浴前の肌より乾燥してしまいます。入浴後すぐに乾燥し始めてしまうので、10分以内には保湿をするように心がけましょう。
ぐっすり眠る
睡眠はメラトニンや成長ホルモンなど新陳代謝を良くするホルモン分泌を促すため、肌の状態を健康に保つためにはとても重要です。
就寝の3時間くらい前に有酸素運動である軽いランニングや早足でウォーキングを行うと、良質な睡眠が得られ11)、これらのホルモンがより増加します。
肌にいい食事
かゆみから肌を守るためには、規則正しい食生活が不可欠です。更年期に不足しがちな栄養素と食材を取り入れながら、栄養バランスのいい食事を意識してみましょう。
・コラーゲン(肌の潤いを保つ)
牛すじ、鶏肉、軟骨、くらげ、エビ、ゼラチンなど
・ビタミンA(皮膚や粘膜を正常な状態で保つ)
レバー、うなぎ、人参、ブロッコリー、かぼちゃなど
・ビタミンB2(肌荒れの改善)
レバー、たまご、 納豆、干し椎茸など
・ビタミンB6(代謝を促進させ、健康な肌を作る)
かつお、まぐろ、五穀米、玄米、ヒレ肉、バナナなど
・ビタミンC(コラーゲン生成の促進や紫外線から肌を守る)
パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ、オレンジなど
・たんぱく質(肌のターンオーバーを促進させ、ハリやツヤを生み出す)
肉類・魚介類・卵・大豆・牛乳・ヨーグルトなど
それぞれが健康な肌を保つために必要な栄養素ですが、たくさん摂取するほど肌にいいというわけではないので、適切な量を摂取しましょう。
また、アルコールやカフェイン、香辛料の多い食事は血流をよくするため肌のかゆみを誘発してしまう可能性があります。
外出時は短時間でも紫外線対策
紫外線は肌の老化や乾燥を招く原因になります。
洗濯物を取り込む時や近所のスーパーに行く時など、短い時間でも外出時は必ず日焼け止めを塗りましょう。塗り忘れがちな部位として、首の裏側や手の甲、耳周り、えりあしがあげられます。鏡の前でチェックしながら丁寧に1カ所ずつ塗りましょう。
更年期のかゆみに効果的な市販薬はある?
かゆみを我慢するのは辛いものですが、なかなかすぐに病院に行く時間が取れない方も多いと思います。近くの薬局で購入できる市販薬の成分を一部紹介します。
保湿成分やかゆみ止め成分が入ったクリーム
エストロゲンの減少により皮膚が乾燥してかゆみを引き起こしている場合、保湿することでかゆみを軽減できます。また、かゆみ止め成分が入ったものも、症状をやわらげてくれます。
・ヘパリン類似物質(乾燥肌修復成分)
乾燥肌を改善する保湿剤の代表的な成分です。クリームやローションなど色々なタイプの薬があるので、塗り心地に合わせて選ぶことができます。
・ジフェンヒドラミン塩酸塩(かゆみ止め成分)
かゆみを抑える成分で、ある程度即効性も期待できます。かゆみがつらい時は無理せず、かゆみ止め成分の入った塗り薬を使うことで、かきむしりへの対策になるかもしれません。。
漢方薬
四物湯と黄連解毒湯を合方した「温清飲(うんせいいん)」という漢方がかゆみに使われることがあります。
四物湯は内を温め、黄連解毒湯は外の熱を清す(冷やす)効果があるため、皮膚の修復を図り、熱をさまして炎症を抑える効果があります。
湿疹ができるなら皮膚疾患の可能性も
更年期に伴う乾燥肌やかゆみについて見てきましたが、乾燥だけでなく湿疹ができたり、強いかゆみや水ぶくれなどができたりする場合は、乾燥からさらに悪化した「乾燥性皮膚炎」という皮膚の病気の可能性も考えられます。
秋から春先の乾燥しやすい時期に起こる病気で、足のすねや脇腹にできやすいと言われていますので、もしかしてそうかな?と思う方は一度皮膚科を受診してみましょう。
更年期の肌の悩みは《皮膚科・婦人科》で相談
今日ご紹介した食事や睡眠、塗り薬や漢方薬を取り入れて健康な肌に一歩でも近づけるよう工夫してみませんか。
また、更年期によるエストロゲンの減少が原因ではなく、思わぬ病気が隠れていることもあります。肌の乾燥やかゆみの症状がひどい場合や、生活や食事に気をつけたり市販薬を使ったりしても改善しない場合は自己判断せずに医療機関を受診して相談してみましょう。