更年期の動悸・息苦しさはなぜ起きる?セルフケアも解説
「急に息苦しくなることがあるけど、これって更年期のせい?」
「最近、胸がドキドキすることが増えた」
更年期に入ると、ホルモンバランスの変化によってさまざまな不調が起こります。動悸や息苦しさもそのひとつで、不安を感じやすい症状ではないでしょうか。特にこうした症状が続くと、日常生活にも影響が出てしまいがちです。
この記事では、更年期に見られる動悸や息苦しさの原因と、症状をやわらげるためのセルフケアについて紹介します。
【動悸・息切れ】40代・50代に起こりやすい原因とは?
更年期世代である40・50代に入ると、動悸や息苦しさなどの症状が現れることがあります。これは、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が影響していると考えられています。123
エストロゲンには血管を広げて血流を整える働きがあり、この分泌が低下することで心拍や血圧が安定しにくくなるのです。こうした変化が、動悸や息切れを引き起こしやすくします。
更年期症状は大きく以下の3つに分けられ、動悸や息切れは「自律神経失調症状」に分類されます。[3]
- 自律神経失調症状
- 精神的症状
- その他(運動器症状や消化器症状など)
自律神経の機能が乱れて交感神経が活発になると、心臓がドキドキしたり息切れが起こることがあります。
更年期の動悸や息苦しさをやわらげるセルフケア
更年期に起こる動悸や息苦しさをやわらげるためには、日々の生活習慣を見直し、心身のバランスを保つことが大切です。
更年期の症状が軽い場合は、ストレスを溜め込まずリラックスすることもポイントです。実践しやすい改善策をいくつか紹介します。4
バランスのよい食生活
食生活の見直しは、更年期の動悸や息苦しさをやわらげるための大切なポイントです。まずは、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
特に、大豆製品に含まれる「イソフラボン」は、エストロゲンに似た働きが期待され、ホルモンバランスを整える助けになるとされています。
また、血流を良くするために、バナナやアボカド、ナッツ類など、カリウムやマグネシウムを多く含む食品も取り入れるのも効果的です。
運動を取り入れる
適度な運動は、更年期の動悸や息苦しさをやわらげるために有効です。
運動にはストレスを軽減する効果が期待できると言われています。ウォーキングやジョギング、スイミングなどの軽い有酸素運動は、幸せホルモンとも呼ばれるエンドルフィンの分泌を促し、気分をリフレッシュさせる効果があります。ただし、無理のない範囲で行うことが大切です。
また、ヨガやピラティスを取り入れた呼吸法もおすすめです。ヨガやピラティスは自律神経を整え、心拍や呼吸を安定させる効果が期待できます。5
さらに、仕事や家事の合間に簡単なストレッチを行うだけでも、筋肉の緊張がほぐれ、リラックス効果を得られるでしょう。
深呼吸や瞑想をする
更年期の動悸や息苦しさを感じたときは、深呼吸や瞑想を取り入れてみましょう。
深呼吸では、5秒かけて鼻から息を吸い込み、10秒かけて口からゆっくり吐き出します。この呼吸を繰り返すことで自律神経が整い、気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。
また、マインドフルネス瞑想を取り入れるのも1つの方法です。1日数分でも、意識してリラックス時間を作ることで、症状の軽減や気持ちの安定が期待できます。
趣味を楽しむ
趣味に没頭する時間を持つことも、更年期のストレス解消方法の1つです。音楽を聴いたり、楽器を演奏したり、絵を描いたり手芸をしたりといった創作活動は、心をリフレッシュさせてくれます。また、読書や映画鑑賞なども、日常のストレスから一時的に離れる良い方法です。
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
ゆったりとした入浴は、心身をリラックスさせるのに効果的です。38〜40℃のぬるめのお湯に20分ほどゆっくりと浸かることで、体の緊張がほぐれ、自律神経のバランスが整いやすくなります。
好みのアロマオイルや入浴剤を加えると、香りの効果でリラックス感がさらに高まります。こうしたリラックスタイムを日々の習慣に取り入れることで、動悸や息苦しさの軽減に役立つでしょう。
気の置けない友人や家族と話す
友人や家族との会話も、更年期のストレス発散に役立ちます。信頼できる相手に話すだけで気持ちが軽くなり、悩みを共有することで新たな視点を得られる可能性もあるでしょう。
特に笑いはストレスをやわらげる効果があるとされ、気分を前向きにしてくれるでしょう。日常の中でこうしたコミュニケーションを意識して取り入れることで、心の負担が軽くなり、動悸や息苦しさの改善が期待できます。
睡眠の質を向上させる
睡眠は自律神経に影響を与えることから、質の良い睡眠は、動悸や息苦しさをやわらげるために重要です。まず、体内時計を整えやすくするために、毎日寝る時間や起きる時間をなるべく一定に保つよう心がけましょう。
寝る前には、リラックスできる習慣を取り入れると効果的です。例えば、リラックス効果のあるアロマを活用したり、適度なストレッチを行ったりすると、体を休める準備が整います。
また、ブルーライトが睡眠の質に影響するとされるため、寝る前のスマホやパソコンの使用は控えるようにしましょう。
動機や息苦しさが続く場合に考えられる病気と対処法
更年期の動悸や息苦しさは一過性であることが多いものの、症状が続いたり重くなったりする場合は、病気が隠れている可能性も考えられます。
特に、以下のような症状が現れた場合は、心臓や呼吸器に問題がないか確認する必要があるため、循環器科や呼吸器科などを受診しましょう。
- 息苦しさが頻繁に起こる
- 動機が長時間続いている
- 胸・背中の痛みやしびれがある
更年期症状・更年期障害以外に考えられる病気として、貧血、不整脈、甲状腺機能亢進症、パニック障害などが考えられます。より正確な診断・治療につなげるために、症状の頻度や持続する時間を記録しておくと受診の際に役に立ちます。また、可能であれば血圧も測定し、記録しておくと良いでしょう。
更年期の動機や息苦しさと上手に付き合おう
更年期症状としての動悸や息苦しさは、誰にでも起こり得る症状の1つ。この時期には、ほかにもさまざまな体調の変化が現れるため、不安が強まることも少なくありません。そのため、自分のペースで生活を整え、リラックスできる時間を確保することが大切です。
また、不安で症状をさらに悪化する悪循環に陥らないよう、更年期には体調の変化を感じたら気軽に医師に相談して、適切なサポートを受けるようにしましょう。自分の体調と向き合いながら、無理のない範囲で対処していくことが、更年期を健やかに過ごすためのポイントです。