【更年期は責任世代】高血圧が届ける体からのメッセージ
自分の整形外科の処方箋と、認知症の義母の処方箋、2人分の処方箋を持参する、いつも朗らかな50代後半の女性が、その日は慌てた様子で薬局に駆け込んできました。
いつもより高い血圧!この血圧計壊れてる?
血圧計使わせて!家で測ってみたら、いつもより高かってん!
どうぞ、使ってくださいね
あれ?やっぱり高いわ!この血圧計壊れてない?
そんな急いで来てすぐに測ったら誰だって高くなりますよ。
一息ついてゆっくりしてからもう一度測ってください。
しばらく経ってから再度測定しても、やはり上の血圧が160近くあります。
(2024年4月より、特定健診の高血圧の基準値が160/100mmHg になりました)
正常な血圧は120/80mmHg未満。
一時的かもしれないけど160は高すぎや……
最近の様子、聞いてみなアカンな。
50代+睡眠不足=高くなる血圧
ちゃんと寝られてますか?
お義母さんのお世話が忙しくて眠れてないんじゃない?
そやねん…
最近昼夜逆転して、夜勝手に出て行ってしまうから心配でぐっすり眠れないんよ。
そうか……もしかして睡眠不足が原因で血圧高いかもしれへんな
50代って血圧が変動しやすいから、イライラや睡眠不足などのちょっとしたきっかけで血圧が高くなるの。
50代やとどうして血圧が高くなるん??
意外に思うかも知れへんけど、女性ホルモンの減少が高血圧につながるんですよ。
女性ホルモン【エストロゲン】と高血圧
40~60代の更年期には、エストロゲンという女性ホルモンが急激に低下します。このエストロゲンの減少が、血圧に大きく関係しているのです。
1. 更年期世代が血圧が高くなる理由
エストロゲンは血管の柔軟性を保ち、血圧を安定させる役割がありますが、減少により血管が硬くなり、血圧が上がりやすくなります。
また、エストロゲンの減少が自律神経を乱すことで、交感神経が過剰に働くと血圧が上昇します。
2. 更年期の高血圧の特徴
血圧の変動が激しいことが特徴です。
普段の生活では問題なくても、病院での測定時に高くなることがよくあります。また、めまいや頭痛、イライラや睡眠不足などの症状と共に血圧が上昇しやすく、一時的な上昇でも、繰り返すことで慢性的な高血圧になるリスクがあります。
3. 更年期の高血圧で注意すべき点
更年期の高血圧を放置すると、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの重大な病気のリスクが高まります。
特に妊娠時に高血圧の経験がある方や、家族に高血圧の方がいる場合、運動不足や肥満気味の方は注意が必要です。
更年期の高血圧は婦人科で相談できる
家のことで大変かも知れないけど、自分の時間も作ってくださいね。
あとたまには、運動がてら少し遠いスーパーまで行ってみるのもいいと思いますよ。
血圧のことも心配やし、一度婦人科に行って相談してみたらどうかしら?
内科じゃなくて?
お義母さんの診察のついでに内科で診てもらったら便利やけど、ゆっくり自分の事相談できないと思うんですよ。
私たち世代は、婦人科に行って相談するのもおすすめなんですよ。
そうなんや。
妊娠してなくても行っていいんやね。
そうそう、行っていいの!
婦人科って、妊娠や生理のことだけじゃなくて、何でも相談できるんです。
何かあってから病院を探すんじゃなく、本格的に調子が悪くなる前にゆっくりと相性の良い先生を探すのがおすすめですよ。
「責任」にがんじがらめの更年期世代こそ自分を大切に
更年期世代は責任世代。
この女性だけでなく、仕事、子ども、親の介護、家事、人間関係の悩み、将来の経済的な心配などさまざまな「責任」に囚われ、自分の身体のことを疎かにしがちです。
更年期世代の高血圧は一般的な高血圧と異なり、ホルモンバランスの乱れが自律神経に影響することが原因とされています。
一時的に血圧が上昇するのは問題ないと思われがちですが、血圧の変動を繰り返すことで一般的な高血圧と同様、重篤な病気のリスクを高めます。
更年期世代の高血圧の治療は、すぐに薬を服用するのではなく、まずは食事・運動・生活習慣を一度見直すことが一般的です。薬を使うことに抵抗感がある人ほど、早めに医療機関に受診するように心掛けましょう。
今感じる不快な症状は、みなさんの身体からの大切なメッセージです。
その声を無視することなくしっかり受け止め、最近無理していないか?自分らしさを忘れていないか?今一度振り返ってみましょう。